糖尿病は、合併症があるとこのサイトでも説明してきました。
そして、糖尿病になって最初に出てくる合併症が「糖尿病神経障害」なのです。
なんとなく神経に異常が現れることを想像できますよね。
「糖尿病神経障害」は、糖尿病が原因で生じる合併症のひとつで、糖尿病網膜症、糖尿病腎症とともに「3大合併症」といわれています。
「糖尿病神経障害」はとてもありふれた合併症で、自覚の有る無しにかかわらず、75%の患者が影響を受けているとみられています。
ありふれた合併症ですが、自覚症状がないことが問題なのです。
ですので、残念ですが、神経障害が現われて、やっと2型糖尿病の診断がつくという人も多いのです。
症状はさまざまで、程度も、何となく不快に感じる程度のものから激痛や冷感、無感覚などの生き方にかかわるような重いものまであります。
手足のしびれ、 異常な冷え、足の裏の違和感、針を刺したような痛み、足が腫れるなどがあらわれますが、感覚には個人差があります。
症状も幅広いということです。
「糖尿病神経障害」について、詳しく調べてみましたので、参考にしてください。
糖尿病になると、細い毛細血管がもろくなるなどのダメージを受けます。
末梢神経に血液を運ぶ毛細血管が傷つくと、十分な酸素と栄養が運ばれなくなり、感覚や運動を司る神経と自律神経に悪い影響が及びます。
感覚神経が障害を受けると、手足の先に痛みやしびれといった症状が現れます。
「ぴりぴり」「じんじん」といった痛みやしびれなどの症状を伴う人は約15%程度といわれていますが、自覚症状のない人も含めると30~40%にみられる頻度の高い合併症です。
自律神経は、障害を受けても感知しにくいため、初期では気づかないことが多いといわれています。
自覚症状がほとんどないため、足先に「ぴりぴり」した痛みや「じんじん」としたしびれを感じて、初めて糖尿病とわかる場合もあります。
そのまま放置すると足の感覚鈍麻から切り傷などにも気付かず、感染を伴って細胞壊死を招き、切断を余儀なくされることもあるため、早期の治療が必要です。
自律神経は、体温や血圧など、人間が生きていくために必要な機能を調節している神経なので、障害を受けると、身体に様々な症状が現れ、日常生活に支障をきたします。
糖尿病で高血糖が長く続いたことが原因ですが、糖尿病神経障害がなぜ起こるかは、まだはっきりわかっていません。
高血糖の状態が続くと、一因として「ソルビトール」という、障害を起こす原因となる物質が神経細胞に蓄積します。その結果、神経線維に異常が生じて感覚が鈍くなったり、麻痺が起こるといわれています。
また、高血糖によって毛細血管の血流が悪くなるため、神経細胞に必要な酸素や栄養が不足するために起こるという説もあります。
神経系には中枢神経や末梢神経、自律神経などがありますが、多くの神経障害は末梢神経から始まります。
特にからだで一番長い神経線維が通じている足や手の先から症状が現われます!
末梢神経がダメージを受ける糖尿病神経障害では、手足に以下のような症状が現れます。
手袋や靴下で覆われる部分に、左右対称つまり両方の足や手に広く起るのが糖尿病末梢神経障害の特徴です。
自律神経がダメージを受ければ上半身や食事中の異常な発汗や、排尿障害、胃や腸の機能不全、立ちくらみ、便秘、下痢などいろいろなトラブルが起こります。
最後はとても悲惨な状態になります。
他に、傷口が治らず、体を守る免疫システムが働きませんから感染症が進みやすく、ちょっとした傷が化膿してしまいます。
それが潰瘍(かいよう)になり、さらに進むと組織が死んでしまう壊疽(えそ)となって場合によっては足を切断しなくてはならないこともあります。
外傷だけでなく、タコやウオノメの放置からでも大事になります。
主治医の指示に従い、食事や運動、薬により、血糖値を適切にコントロールしましょう。
神経障害により足の感覚が鈍くなっていると、ケガをしても気がつかない場合があります。糖尿病になると、傷が化膿しやすく、治りにくいため、ケガややけどをしていないか、毎日足の裏をチェックするようにしましょう。
また、爪を切るときは深爪しないよう、気をつけましょう。
日常への習慣として、足を守ることの徹底が必要です。
神経障害により立ちくらみが起こりやすくなります。立ちくらみを防ぐため、寝ている姿勢から一気に起き上がらないようにしましょう。
アルコールは神経障害を悪化させます。
タバコは血流を悪化させるため、心筋梗塞や脳梗塞を起こしやすくなります。
このページでは、糖尿病の症状『かゆみ』について説明しています。
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監修:宮座 美帆
経歴&活動:
平成25年 臨床工学技士の資格取得。
同年より、広島大学病院に勤務し循環器・呼吸器・代謝内分泌などの疾患を対象に多くの仕事に従事し経験を積む。
現在は医療に関する執筆・監修をこなす医療ライターとしても活動中。
病院・クリニック・企業のHP内コラム等も担当し、読者のみなさまが「病院を受診するきっかけ」作りを積極的に行う。