インスリンが不足した時に起こす『糖尿病ケトアシドーシス』

糖尿病患者が昏睡状態になるとき

糖尿病の方が高血糖になった場合、身体ではどのような事が起きているのでしょうか。

糖尿病患者が高血糖によって意識障害を起こし、昏睡状態になることがあります。
これは、本当は高血糖の状態にもかかわらず、下記の要因によってインスリンが極度に不足した時に、細胞内に糖分が取り込まれないため起こります。
そして、この時問題となるのが、ケトン体が体内で増えてしまう「糖尿病ケトアシドーシス」です。

糖尿病ケトアシドーシスを起こす時

糖尿病ケトアシドーシスって?

ケトン体というキーワードが出てきましたが、そもそもケトン体とは?
上記の印象では、あまり身体によくないものだという認識ですよね。

インスリンが不足した時、血管内には糖分がたくさんあるのに、インスリンがないために細胞内に取り込むことができなくなります。
そして、高血糖状態にも関わらず、身体は飢餓状態にあるものと勘違いし、本来とは違うルートで糖を作り出そうとします。
その時に脂肪組織をエネルギー源とするために、燃えカスとしてケトン体が生じてしまいます。

小学校の理科で実験した、pHを覚えているでしょうか?
pHというのは、水溶液がどんな性質かを表す単位の一つで、0~14で表します。
中間の7が中性で、これより低い方を酸性、高い方をアルカリ性といいます。
人間の血液は常にpHが7.35~7.45の中で調節されているのですが、ケトン体(酸性物質)が増えることで、pHが下がり、アシドーシスを起してしまうのです。

なるほど!ケトン体が増えることで、意識障害を起こし、昏睡状態になってしまうのですね。それが、糖尿病ケトアシドーシスなのですね。

昏睡状態にある高血糖患者の尿からケトン体が検出されれば、それで糖尿病ケトアシドーシスと判断できます。
また、血液ガス分析というものを行えばpHがすぐにわかります。

高血糖の時に昏睡状態になってしまう他の理由として、他にも浸透圧が上がることで血管内に脱水が起こっている場合があります。
しかし、この時には尿中のケトン体はケトアシドーシスに比べて検出されてもごく微量。
pHも7.3より下がることはありませんので、鑑別することができます。

いずれにせよ、高血糖による昏睡状態が起こった時には、医療機関でインスリンの持続点滴が必要になります。
普段から自分の身体を見つめて、血糖管理をすることが大事ですね。

糖尿病とは?のまとめ

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