血糖値を下げるのにウーロン茶は効果的?

血糖値を下げる、あるいは血糖値の上昇を抑えたり、緩やかにする効果のある食べ物は数多くあります。
中でも、普段の食生活の中に取り入れやすいものも多くあり、血糖値を気にしている方はそれらの食品を積極的に食事の中に取り入れていくことが推奨されます。
さて、誰でも手軽に飲めて、しかも健康によい、という「ウーロン茶」に関しての話を聞いたことがあるでしょうか。
この記事では「ウーロン茶」の効果について述べていきます。

ウーロン茶

ウーロン茶が血糖値を下げるのに効果的というのは本当?

ウーロン茶は、現代では非常に手に入りやすく、ちょっと喉が渇いた、というときにもお手軽な飲料ですね。
コンビニエンスストアであったり飲食店でもほとんどのお店がウーロン茶をラインナップに加えています。
やはり飲みやすい爽やかな味や、他のお茶に比べて苦味が少ないことなどが人気の理由として大きいでしょうが、ウーロン茶には様々な健康効果があるとも言われています。
少しご紹介しますと、まずは美容効果があるという説です。
ウーロン茶に含まれている、「烏龍茶重合ポリフェノール」は、抗酸化作用があるといわれ、これが肌の紫外線によるダメージ、つまりシミやシワなどを抑制してくれるということなのです。
さらに、テアニンと呼ばれる物質が含まれており、これはリラックス効果があるとされています。
リラックス効果がもたらすこととしては、ストレスが和らげられ、自律神経の働きを活性化してくれること、そして睡眠の質を改善してくれることなどが期待されます。

次に、ダイエットにも効果があるとされています。
これは、先ほど紹介した「烏龍茶重合ポリフェノール」が脂の吸収を抑えてくれるというもの。
ウーロン茶の茶葉は半発酵の状態なのですが、この茶葉に含まれているカテキンという物質が脂の吸収を抑えてくれたり、体内にとどまっている脂を排出する手伝いをしてくれるとの効果が謳われています。

そして、「糖尿病の予防効果がある」というのもウーロン茶の効果として注目を浴びていました。
確かにウーロン茶は砂糖などを入れて飲むものではないため、血糖値の上昇を気にせず飲むことができる、理想的な飲料のように思えます。
また、他の健康茶や栄養食品などと比べても格段に安価で、先ほど紹介したような効果もあるということになれば、もはやウーロン茶を飲まない理由はないように思えます。
しかし、実はこの見解は、最近の研究では批判的な意見が多くなってきています。
近年の京都大学による研究で判明した結果としては、ウーロン茶を1日1杯飲む場合に糖尿病の発症リスクを1とすると、1日2杯以上のウーロン茶を飲む場合には1.64ほどとなり、およそ64%の確率で糖尿病を発症するという危険性が指摘されました。(ただし、ウーロン茶を全く飲まない人と、ウーロン茶を1日1杯飲む人との間では糖尿病リスクに有意な差は認められなかったようです。)
つまり、1日2杯以上のウーロン茶の飲用は、かえって糖尿病リスクを高めてしまうのではないか、という指摘がなされているということです。
このとき、ウーロン茶以外の健康茶について影響評価はされなかったようですが、対照群として、水を服用させたグループがいたようですが、この水だけを飲ませたグループは空腹時血糖の改善が見られたようです。
もともと、「血糖値にウーロン茶が効果的である」という論文を提出した全体が、空腹時血糖のコントロールの悪い患者に、濃いウーロン茶を1日1.5リットルものウーロン茶を飲ませたということでしたので、はたしてウーロン茶が血糖値を下げる効果をもたらしたのかどうか、議論のあるところということになります。
せっかく血糖値の改善をしようとして、食生活を工夫してウーロン茶を取り入れてみたのに、結果的に糖尿病リスクが上がってしまうというのはまさしく本末転倒です。
とはいえ、ウーロン茶を飲むこと自体が危険という意味ではありません。
あくまで「飲み過ぎ」が問題なのであって、適切な量であれば健康に対しての悪影響は限定的となると考えてよいでしょう。(これは、どの食品・飲料にも共通して言えることですね)
ウーロン茶にしろ健康茶にしろ、血糖値が下がる!ということで大量に取り入れるのではなくて、あくまで自然に、無理をせずに毎日の食生活に少しずつ取り入れていくのがベストだと言える研究結果だったのではないでしょうか。

この記事を監修した人

監修:宮座 美帆

経歴&活動:
平成25年 臨床工学技士の資格取得。
同年より、広島大学病院に勤務し循環器・呼吸器・代謝内分泌などの疾患を対象に多くの仕事に従事し経験を積む。
現在は医療に関する執筆・監修をこなす医療ライターとしても活動中。
病院・クリニック・企業のHP内コラム等も担当し、読者のみなさまが「病院を受診するきっかけ」作りを積極的に行う。

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