血糖値を気にする方にとって、日々の運動や食事などの生活習慣の改善が不可欠であることを学びました。
食事は、栄養素を体内に取り入れる行為であり、それによって血糖値が上下してくるのは間違いないこととなるでしょう。
では、日々の中で取り入れる栄養素の中でどれが血糖値を上昇させやすく、どれが血糖値の上昇を抑えることができるのか、ということを知っておくのは、非常に有用であると考えられるわけです。
血糖値は、血液内の糖の含有量を示すものですが、現在食事の中でメインを占める食材は、多少なりと血糖値を上昇させるものです。
たとえば炭水化物などがその良い例です。
これはどういうことかと言いますと、主食となることが多いご飯(白米)を食べた場合、ご飯の中に含まれている「デンプン」が、人体内部の膵臓や唾液に含まれている「アミラーゼ」という消化酵素によって分解され、糖となることがまずその第一の原因となります。
このような機構があることを考えれば、主食を摂取したときに糖として吸収されることは人体にとっては必要なことであるともいえるわけです。
ですので、デンプンが消化過程で糖になることそのものが問題となるのではなくて、アミラーゼによってデンプンが糖となり、その糖が身体に取り入れられたとき、糖を適切に代謝できないこと、血糖値を抑制できないことが最大の問題だということになるわけです。
このことから考えると、血糖値によい影響を与える食べ物としての条件の一つは、糖の生成を穏やかにする作用を持つ栄養素、あるいは吸収した糖を体外へ排出する作用を持つ栄養素であるといえることがわかります。
次に、糖が吸収されたとしても、身体は血糖値が上昇することを防ぐため、それを抑制する機構を持っています。
それが「インスリンの分泌」です。
このインスリンという分泌物は、食後に上昇した血糖値を下げる役割を担っているのですが、血糖値が高い状態が続くと、体内の細胞に「インスリン抵抗性」というものが身についてしまい、細胞が糖を吸収できなくなってしまいます。
そのため、条件の二つ目としては、インスリンの合成や分泌を促進するもの、そして、細胞が糖を吸収することを助ける栄養素、ということになります。
これらの要素を持つ栄養素に気を配り、積極的に摂取していくことで、体内の血糖値を正常に保つことができるようになるでしょう。
では、それらの栄養素を多く含む食材をご紹介します。
まず、インスリンの合成を助ける物質としては、亜鉛やビタミンB6が挙げられます。
亜鉛は、牛肉に多く含まれているほか、牡蠣などの貝類にも多く含まれていることが知られています。
ビタミンB6は、にんにくに多く含まれているほか、牛・鳥のレバーに多く含まれていることが知られています。
次に、インスリンの分泌を助ける栄養素としては、まずビタミンDが知られています。
ビタミンDはキノコ類に多く含まれていることが知られています。
さらに、最近注目を集めている「サポニン」も、この作用を持っています。
サポニンは、ゴーヤや豆類に多く含まれていることが知られています。
炭水化物からブドウ糖が生成されるのを抑える物質としては、デオキシノジリマイシンが知られています。
これは桑の葉に多く含まれています。
また、健康茶として知られる「グァバ茶」に含まれているテアフラビンもこの役割を示します。
生成されたブドウ糖を、細胞が吸収するのを助ける物質として知られているのは、カルコンやコロソリン酸などです。
カルコンは、最近では青汁に含まれていたり、研究雑誌などにも度々登場している「明日葉」が多く含有していることで知られています。
コロソリン酸はあまりなじみのない物質名かもしれませんが、ゴーヤー茶に含まれている物質といえば、かなり身近に感じられるのではないでしょうか。
最後に、消化された糖の排出を助ける物質としては、まず第一に難消化性デキストリンが知られます。
これは食物繊維の一種です。
同じ食物繊維でも、水溶性食物繊維も同様の動きを見せ、これは寒天や海藻類に多く含まれています。
また、オクラやサトイモ、ナメコなどのねばりのある食品に含まれることで知られる「ムチン」も、同様のはたらきを見せます。
これらの食品を積極的に取り入れていくことで、血糖値を正常に保つことができるようになるでしょう。