糖尿病の予備知識がなくても、足を切断したとか、失明したとかの合併症の恐怖についてはご存知な方も多いでしょう。
今回はその合併症についてご案内します。
糖尿病を放置していたり、コントロールが悪いと実際に失明したり、人口透析に至るケースも多いのです。
糖尿病の合併症は三つあることをご存知でしょうか。
また、糖尿病のコントロールが悪いと、細菌などに対する提供力が弱まって、ひどい感染を起こす危険が増大します。
以上の3つの合併症が代表的なものです。順番に見ていきましょう。
眼球の構造はカメラのレンズに例えられますが、レンズの役割は水晶体。
フィルムの役割は網膜が果たしています。
糖尿病で長年の高血糖が続くとこの網膜が障害を受けて、糖尿病性網膜症になり、治療が困難なので、最悪の場合失明にいたります。
この網膜症はやっかいなことに自覚症状がありません。ですから糖尿病の診断を受けた場合は、定期的に眼底検査などを受けて早期発見に努めることが重要です。
もちろん、糖尿病の正しいコントロールをきっちりと続けることも大切です。
腎臓には、血液中の老廃物や不要物を尿中に排泄する重要な働きがあります。
この働きが失われると腎不全になり、尿毒症になってしまいます。
尿毒症は人工透析を受けないと生きていけなくなるという恐ろしい病気です。
現在日本には約32万人の人工透析患者がいるそうです。
人工透析には基本的に週に3回の通院が必要で、毎回4~5時間の透析をする必要があります。
透析の技術は昔に比べると飛躍的に進歩しているため、透析を受けながら社会で活躍することも可能ですが、普通の生活からは想像できないほどの制約は避けられません。
やはり定期的な検査によって腎症の早期発見に努める必要があります。それとと尿病の正しいコントロールを続けることは言うまでもありません。
合併症の多くは血管の病気と絡んでいるため、糖尿病は血管の病気であるとも言われます。
1と2で紹介した糖尿病性網膜症と糖尿病性腎症は細動脈や毛細血管など比較的細い血管の障害ですが、血管の病気はこれらにとどまりません。
比較的大きな動脈も糖尿病によって障害を受けます。
これは糖尿病性大血管障害と呼ばれ、狭心症や心筋梗塞、脳卒中を引き起こすこともあります。
また、下肢への血行が障害を受けると、下肢の切断につながることもあります。
この障害の最も典型的な初期の症状は、両足の裏のしびれです。
やがて、しびれは徐々に上の方へと広がり、両手の指も先端からしびれてきます。
悪化すると、ほとんど痛みを感じなくなり、足に怪我をしていても気づかなかったりすることもあります。
足が腐ってきて切断しなければならなくなる糖尿病壊疽の場合は、神経障害で近く麻痺を起こした足に小さな傷が出来ることから始まります。
傷の原因は靴擦れや深爪など、ほんの些細なものが大半ですが、足がしびれて痛みを感じなくなると手当が遅れます。
さらに血行障害や免疫力の低下によって治癒力が弱っているすきに、最近が入り込んで感染が広がるのです。
普通の状態なら痛くてたまりませんが、しびれのせいで痛みを感じないため、診察を受けるのが遅れがちになります。
足全体が腐ってきてから、やっと不安を感じて病院を訪れたが既に手遅れという悲劇はまれではないようです。
糖尿病のひとは、入浴の際に足に傷がないかどうかを目で見て確かめる習慣が必要だといえます。
以上、糖尿病の合併症の恐ろしさをご紹介しました。
監修:宮座 美帆
経歴&活動:
平成25年 臨床工学技士の資格取得。
同年より、広島大学病院に勤務し循環器・呼吸器・代謝内分泌などの疾患を対象に多くの仕事に従事し経験を積む。
現在は医療に関する執筆・監修をこなす医療ライターとしても活動中。
病院・クリニック・企業のHP内コラム等も担当し、読者のみなさまが「病院を受診するきっかけ」作りを積極的に行う。