これが出たらアウト!? 血液検査の基準値は?

糖尿病を調べる血液検査は、血糖だけではありません。
HbA1c・OGTTもよく臨床では診断に使われます。
では、どの血液検査がいくつになったら糖尿病と診断されるのでしょうか?

まず血液検査では、血糖値・HbA1c・OGTTを用います。
血糖値は食事を食べていようといまいと関わらず、抜き打ちで行った時点を差す随時血糖、食事抜きで採取した空腹時血糖があります。

そしてHbA1cは、検査当日の食事に関係なく、過去2か月の平均血糖コントロールの状況をしますものです。

最後のOGTTというのは、空腹時の状態であえて75gのブドウ糖を含む液を飲んで、その糖の代謝状況を、時間を追って測定していくものです。

ブドウ糖液を飲んでから0分後・30分後・60分後・90分後・120分後に、採血をします。
実際の診断は、120分後の採血で調べた値です。
調べている項目は血糖なので、OGTTも血糖値と言えば血糖値ですね。

さて、この3つの血液検査において、どの値が出たら糖尿病と確定されるのかと言いますと次の基準があります。
ただし、この中で1つが当てはまっただけでは、一発で糖尿病とは言われません。
確定診断には、1~数か月後に再検査をして最終診断をします。

とは言っても、1つでもあてはまればかなり糖尿病の疑いは濃く、少なくとも「要注意」ではあるでしょう。

糖尿病の診断基準

血糖値 空腹時≧126mg/dl
随時≧200mg/dl
OGTT(2時間値) ≧200mg/dl
HbA1c ≧6.5%
*HbA1cは、NGSP値とする

この中で、血糖値(OGTT含む)とHbA1cを同時に測定して両方が診断基準を満たすもの、つまり糖尿病型の時には、その時点で糖尿病と診断されます。

1回の検査で糖尿病と診断がつくと、病院を初めて受診した日から治療をスタートできます。
糖尿病は早期に診断して、早期に介入することが大事。
血糖値とHbA1cがそろったら「あなたは糖尿病です!!」と言い渡して、生活習慣を変えるよう指導しつつ、治療介入していこうということです。

では血糖値だけ、もしくはHbA1cだけが診断基準を満たしている場合はどうでしょうか?
この場合は、基本的には再検査を行って確定診断を行います。
ただし、血糖値がすでに基準を超えていて、かつ糖尿病の典型症状・糖尿病性網膜症の認められる場合は、再検査なしで糖尿病と診断されます。

HbA1cだけが高い場合は、「糖尿病疑い」で止まります。
しかし、一度でもHbA1cが6.5%を超えたら、(自分は限りなく糖尿病なんだ・・・)と自覚した方がよいでしょう。

血液検査の示す意味

なぜ1回の血液検査で糖尿病と診断できるのでしょうか?現代にはCTやMRI、エコー、内視鏡etc.さまざまな検査がありますが、糖尿病は血液検査だけで十分なのです。
もちろん他の検査も全身状態をみるために行いますが、確定診断は血液検査だけ。

それは、糖の代謝過程において、いくら食後もっとも血糖値が高い時間帯(OGTT2時間値)であっても、200mg/dlを超えることは異常だから。
つまり、どの時点で血糖を測ろうとも、200mg/dlを超えると糖尿病型なのです。
上の診断基準の中でも、随時血糖とOGTT2時間値の基準はどちらも≧200mg/dlですよね。

しかし、血糖値というのはその時の状態しか表してくれません。
中には空腹時血糖が正常でも、OGTT2時間値は異常という人もいます。

生活習慣病である2型糖尿病は、食後高血糖から始まります。
境界型にある人は、食事を摂ったあとのインスリンの出るタイミングが遅れて、細胞に糖を取り込むのが遅れてしまう「食後高血糖」が始まっていることがあります。

同じ人でも、空腹時には血糖はまたもとに戻っているので、空腹時血糖だけを調べていても正常と判断されてしまう・・・。
そのために、HbA1cとの合わせ技で見ていく必要があるのです。

糖尿病は、簡単に言ってしまえば「全身の血管を侵す病気」です。
血管へのダメージは、食後高血糖が出現する段階で、既に始まっています。
血管に加わったダメージは、各種臓器へのダメージでもあります。

取り返しのつかないことになる前に、血液検査で1つでもひっかかったら、自分は限りなく糖尿病に近いと自覚しましょう。
もちろん、血糖値とHbA1cの両方が基準を満たしたら、もう腹をくくって、糖尿病治療に励みましょう。

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