糖尿病の治療

糖尿病を治療する上での目的

今までにもお伝えしてきましたが、糖尿病は一度罹ったら治癒する病気ではありません。
では、何のために治療をするのでしょうか?
それは糖尿病の進行と合併症の発症を抑えるためです。
もし合併症が起こってしまったら、その進行を食い止めることも治療の目的となります。

糖尿病の治療の効果はどれくらい期待できるの?

もともと自覚症状に欠けるのが糖尿病。
それが更に眼に見える形でわからないので、なかなか治療に本腰を入れるという人がいません。
特に糖尿病としては初期の段階で、健康診断で指摘されたくらいでは、日常生活に困っていないのでなかなか自覚に欠けることが多いですね。

仮に合併症が起こったとしても、それすら治ることがなかなかありません。
皮膚症状に関しては治すことも可能ですが、治療に通っても壊死して最終的には切断という結果に至ることもあります。

糖尿病はなかなか治療の効果を感じにくいもの。
もともと健康管理をしてこなかった人に生活習慣の改善や内服管理、定期的な検査・受診を徹底してもらうということは、困難なことです。

糖尿病の治療と完治

繰り返しになりますが、糖尿病に完治はありません。
しかし、体重や糖尿病の重症度を示すHbA1cの値が下がってくることはあります。
ただし、自覚症状として感じられることはあまりないでしょう。

完治することのない糖尿病ですが、これらの値が下がってきたなら、それを継続・維持することが治療です。
糖尿病に罹りながらも合併症を起こすことなく、元気で日常生活を送ることができる…それが、治療の目標です。
ただし、その段階になったとしても、生活習慣や内服管理がなくなることはありませんけれど。

糖尿病の治療とインスリン

糖尿病の治療には段階があります。
いきなり初診時から内服薬を出しても、本人の意識改革をすることがなく、生活習慣の改善がなければどんどん進行します。
しかし、生活習慣の改善だけではHbA1cの値が下がらずコントロール不良な場合や、HbA1cが10を超えるような場合、悠長なことを言っている時間はありませんから、すぐに内服治療が始まったり、インスリン導入となることがあります。

また、インスリンは最終兵器としての使い方だけではありません。
インスリン強化療法といって、インスリンを出す臓器である膵臓がへばってしまう前に、1週間程インスリンを足してあげることで、膵臓を休ませてあげるという使い方もあります。

インスリンには作用時間の違いによって、いろいろな種類があります。
ですから、インスリンを導入する場合やインスリン強化療法を行う際には、外来通院だけで行う場合は注意が必要です。

インスリンの種類
超速攻型 15分以内に作用発現、3~5時間作用持続
速攻型 1~2時間に作用発現、24時間作用持続
混合型 10~20分以内に作用発現、18~24時間作用持続
中間型 0.5~1時間に作用発現、18~24時間作用持続

糖尿病の治療期間

糖尿病の治療は、診断がくだったその時から亡くなるまで続きます。
ただし、その治療というのは生活習慣の改善と内服薬1剤だけで済む場合から、インスリンも内服も併用し、さらに腎不全になってしまって人工透析が必要という場合もあります。
とくに人口透析は、一度始めたら週2回~3回、半日病院に拘束される生活が、本当に一生続きます。
面倒だから今日は休みという訳にはいきません。

高血圧や高コレステロール血症も糖尿病も、薬を必要としない段階で維持できることもありますが、それでも規則正しい食生活と適度な運動は、一生必要になります。
どんな段階の治療をしているとしても、それは一生涯続くということを覚悟する必要があります。  
糖尿病は、「治す」のではなく「付き合っていく」という考え方が大事。
この考え方ができないと、最初だけ頑張って後が続かなくなってしまったり、最初からもういいやと投げやりになってしまうでしょう。

まとめ

糖尿病の治療薬は、どんどん進歩しています。
しかし、生活習慣病である糖尿病は、本人の努力をなくして成功することはありません。
糖尿病は、進行せず合併症を起こさないという現状維持ができれば、それがベスト。
決して通院をしなくてよくなる「今日で終診」ということはありえません。

しかし、うまくコントロールして生活に組み込んでしまえば、日常生活に支障がでることなく自分らしい生き方をすることもできますから、決して悲観しないでくださいね。

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