糖尿病とは?症状と糖尿病になる人の6つの特徴をわかりやすく解説

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糖尿病とは?症状と糖尿病になる人の6つの特徴をわかりやすく解説

糖尿病とは?症状と糖尿病になる人の6つの特徴をわかりやすく解説

質問者

糖尿病ってどういう病気なの?
糖尿病になると、どのような症状があらわれるの?

このように不安を感じたり悩んだりしていませんか。

厚生労働省の「令和元年 国民健康・栄養調査」によると「糖尿病が強く疑われる人」の割合は男性で19.7%、女性で10.8%とされています。[1]

糖尿病は国民病といわれており、多くの人が発症しているといえます。

この記事では糖尿病の基本的なポイントから原因、症状などを解説しました。糖尿病についてよく分からず悩んでいるあなたの助けになれてば幸いです。

糖尿病とは?|空腹時の血糖値126mg/dl以上が目安

糖尿病とは「インスリン(血糖値を下げるホルモン)が十分に働かないため、血液中のブドウ糖が増える病気のこと」です。[2]

食事をすると栄養の一部は糖となって腸から吸収され、身体のエネルギー源になります。このエネルギー源がたくさんある状態が糖尿病です。

糖尿病と診断するひとつの目安は、空腹時の血糖値です。この数値が126mg/dl以上であると、糖尿病が疑われます。

また、多くのケースで糖尿病になるときはある日突然、血糖値が高くなるわけではありません。少しずつ血糖値が高くなり、糖尿病になります。

糖尿病の原因と2つの種類

糖尿病は、その病気の成り立ちによって「1型糖尿病」と「2型糖尿病」の2つの種類に分けられます。それぞれの糖尿病について、以下の表で簡単に説明しますね。

項目 1型糖尿病 2型糖尿病
発症年齢 若年に多くみられる 中高年に多くみられる
体型 やせ型の人が多い 肥満体型の人が多い(やせ型もいる)
原因 膵臓からインスリンがほとんど出ないため血糖値が高くなる インスリンが出にくかったり、インスリンが効きにくかったりすることで血糖値が高くなる
症状 急激に発症する 気づかないうちに進行する
治療 インスリン注射 食事療法や運動療法、薬物療法。インスリン注射をすることもある

1型糖尿病の方が、生きていくためにはインスリン注射が必要です。その一方で、2型糖尿病の方は気づかないまま症状が進んでいるケースもあり、食事や運動を見直すことで血糖値をコントロールできることもあります。

糖尿病のおもな合併症

血糖値のコントロールがうまくいかないと、合併症を起こしたり病状が進んだりします。糖尿病のおもな合併症は以下の3つです。

糖尿病性網膜症
糖尿病性腎症
糖尿病性神経障害[2]

糖尿病は自覚症状があらわれにくい病気であり、いつの間にか合併症を起こしていたというケースもあります。血糖値が高いことを放置して正しい治療を受けなければ、細い血管が傷ついてこれら3つの合併症を起こします。

さらに、病気が進行するとより大きな血管が傷つき心筋梗塞や脳卒中のリスクが高くなります。

そのため、糖尿病は早く発見して、適切な治療を受けることが大切です。

糖尿病の症状

一般的に、糖尿病の方はかなり血糖値が高くなられなければ症状があらわれません。糖尿病の症状は以下のとおりです。

体重が減る
喉がよく渇く
尿の回数が増える
疲れやすくなる
疲れやすくなる

さらに、血糖値が高くなると、意識障害を起こす可能性があります。そのため、1年に1度は健康診断を受けて自分の血糖値を確かめましょう。

糖尿病になる人の6つの特徴

糖尿病になる方にはどのような特徴があるのでしょうか。以下に当てはまる方は、糖尿病になりやすいかもしれません。

肥満体型
運動不足
睡眠不足
過食・過飲
家族に糖尿病の人がいる
ストレスがかかりやすい

当てはまる数が多い方は、糖尿病になりやすいと言えます。

ただし、これらは糖尿病を診断できるものではないため、あくまでも目安としてください。

こういった特徴に当てはまる人は、生活習慣を見直したり、早めに病院を受診して糖尿病を予防しましょう。

ストレスがかかりやすい

糖尿病の予防方法

糖尿病は、ひとたび発症すると完治することはありません。[3]

参考文献・サイト[3]
糖尿病|厚生労働省

さらに、糖尿病にかかることでほかの病気になりやすくなったり、ほかの病気が糖尿病に影響したりします。以下の病気が、糖尿病と関係があるとされています。

がん[4]
認知症[5]
うつ病[6]

これらの病気にならないために、糖尿病の予防が欠かせません。具体的には「食生活を整える」「運動をする」「ストレスを溜めない」などが重要です。

糖尿病の診断

糖尿病になるまでの段階は、血糖値の高さによって「正常型」「境界型」「糖尿病型」の3段階に分類されます。

糖尿病と診断されるまでには、以下の3つのパターンがあります。

番号 診断の方法 注意点
糖尿病型を2回確認(必ず1回は血糖値で確認)
  • 別の日の検査で糖尿病型が2回以上認められると糖尿病と診断
  • HbA1c(※1)のみを2回以上検査できない
  • 同じ採血でHbA1cと血糖値がそれぞれ糖尿病型をあらわすと1回の検査で糖尿病と診断
糖尿病型(血糖値に限る)を1回確認+慢性的な高血糖症状の存在 以下の条件がひとつでもあり、血糖値が糖尿病型であれば1回の検査で糖尿病と診断
  • 口渇や多飲、多尿、体重減少の存在
  • 確実な糖尿病性網膜症の存在
過去に糖尿病と診断された根拠の存在 現時点での血糖値が糖尿病型の基準値以下でも、過去に①もしくは②の条件が満たされた記録があった場合は糖尿病として対応

(糖尿病型:空腹時血糖値(※2):126mg/dl以上、OGTT2時間値(※3):200mg/dl以上、随時血糖値:200mg/dlのいずれか。HbA1c:6.5%以上)

採血で血糖値やHbA1cを測ったり、指先の皮膚に針をさしてわずかな血の量から血糖値を調べたりします。

ただし、糖尿病の診断は血糖値を確認したうえで、症状や患者さんの状態、家族歴、体重などを参考にして医師が総合的に判断します。

気になる症状がある方や不安なことがある方は糖尿病内科、もしくは内科の診療科目がある病院を受診して相談してみてくださいね。

(※1)HbA1c(ヘモグロビン・エーワンシー):採血で分かる数値であり、過去1~2ヶ月分の血糖値をあらわします。

(※2)空腹時血糖値:10時間以上、食事や糖分が含まれた飲み物を取らないようにしたうえで血糖値を測ります。空腹時血糖値が100〜125mg/dlで特定保健指導の対象です。

(※3)OGTT(経口ブドウ糖負荷試験):ブドウ糖が含まれた飲み物を飲んで、一定時間経ったあとに採血で血糖値の変化を見て、糖尿病を評価する検査のひとつです。

血液検査

糖尿病の治療法

糖尿病の治療の目的は、糖尿病があっても血糖値をコントロールして、健康な人と同じ健康寿命(健康上の問題で日常生活の制限がない)を保つことです。ここでは、以下3つの糖尿病の治療方法を解説します。

食事療法
運動療法
薬物療法

それぞれの治療法をくわしくみていきましょう。

食事療法

食事療法では、糖尿病の方の体格(身長・体重)と活動量で1日の適正なエネルギー量が決まります。

1日の適切なエネルギー量(kcal)=目標体重(kg)×エネルギー係数

くわしい目標体重(※1)やエネルギー係数(※2)については、以下の表を参考にしてください。

ただし、1日の適切なエネルギー量は性別や年齢、血糖コントロール、合併症の有無など糖尿病の方によって異なります。糖尿病の病状によっては、計算式に当てはまらない方もいます。

さらに、炭水化物やたんぱく質、脂質などの栄養素をバランスよく摂らなければなりません。「糖尿病食事療法のための食品交換表」 にくわしく載っているため、参考にしてくださいね。[7]

実際のエネルギー量や食事のメニューは、糖尿病の方によって異なるため、主治医や栄養士と相談して決めましょう。

(※1)目標体重の目安
年齢 目標体重
65歳未満 身長(m)×身長(m)×22
65歳以上75歳未満 身長(m)×身長(m)×22~25
75歳以上 身長(m)×身長(m)×22~25
※現体重や筋力低下、ADL低下、食事量などによって適宜判断する
活動の強度 エネルギー係数
軽い労作(大部分が座位の静的活動) 25~30 (kcal/kg目標体重)
普通の労作(通勤・家事、軽い運動を含む) 30~35 (kcal/kg目標体重)
重い労作(力仕事、活発な運動習慣) 35~  (kcal/kg目標体重)

運動療法

有酸素運動をおこなうことで筋肉への血液の流れが多くなると、ブドウ糖が細胞のなかに取り込まれインスリンの効果が高まります。結果として、血糖値が下がります。[8]

たとえば、以下のような有酸素運動を取り入れてみてください。

ウォーキング
ジョギング
水泳

これらの運動を1回15分~30分、1日2回おこなうと良いでしょう。筋肉トレーニングも一緒におこなえると、筋肉量が増えることで血糖値が下がりやすくなりますよ。[8]

ただし、高齢者の方は腰痛や膝痛などの持病を持っており、運動をおこなうことでその症状が悪化する恐れがあります。

さらに、血糖値が下がりすぎて「手や足が震える」「顔色が青白くなる」「目がかすむ」「けいれん」などの低血糖症状があらわれる可能性があります。[9]そのため、主治医と相談のうえで、運動をおこないましょう。

プール

薬物療法

まずは、食事療法と運動療法を実施して、それでも血糖値が下がらなかった場合に薬物療法をおこなうイメージです。

薬物療法で使う薬の効果は、大きく4つにわけられます。

インスリンを補充する(注射薬)
インスリンを出しやすくする(飲み薬・注射薬)
糖の吸収や排泄をコントロールする(飲み薬)[10]

これらの薬を使う際の副作用は低血糖です。定期的に血糖値を測り、糖尿病の方の生活の状況に合わせて薬を調整します。

低血糖の症状があらわれたときや気になる症状があったときには、すぐに主治医に相談してくださいね。

まとめ

糖尿病とは、インスリンが十分に働かないため、血液中のブドウ糖が増える病気のことです。近年、糖尿病の患者数は増えており、国民病ともいわれています。

糖尿病になっても運動療法や食事療法などをおこなうと血糖値をコントロールでき、健康な人と同じ健康寿命を全うできる可能性があります。

ただし、糖尿病はひとたびかかると完治することはありません。

そのため、定期健診を受けたり、規則正しい生活を送ったりすることで糖尿病を予防していくことが大切です。

この記事の監修者

塩見 友香(しおみ ゆか)

塩見 友香(しおみ ゆか)

医療・取材ライター、病院薬剤師。
大学卒業後、総合病院に勤務し、内科・泌尿器科・透析科・循環器科での服薬指導
を経験。現在は未就学児2人を子育てしながら病院薬剤師として従事、現場経験をもとに医療ライターを行う。

2015年 一般社団法人 日本糖尿病指導療法士認定機構 日本糖尿病指導療法士取得。

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