世界成人人口の6%が患う糖尿病ですが、初めに現れる症状は概ね何処でも共通であり、典型的症状とも言われています。
典型的症状は数多くあり、その中でも「多飲」「頻尿」「口渇」は、糖尿病患者のほとんどが経験するそうです。
高血糖状態が長く続く事により、身体の細胞が浸透圧の関係で無理矢理排出され脱水症状となります。
それにより身体は、水分が過剰に排出された状態となり、それにより排出した分の水分を欲する事になります。
これが「口渇」や「多飲」の原因となるのです。
そして、摂取した水分も同じ経緯で排出され、また同じように繰り返し水分を摂取する悪循環となります。
摂取した過剰な水分は尿として排出されますが、非常に多くの水分を摂取している為「頻尿」の原因となります。
上記のように非常に多くの症状を呈し、健康な人が経験する一過性のようなものではなく、明らかに「自分の体はどうなっているんだ」と、強く疑問に思う状態に陥る事が多いようです。
各症状の仕組みですが、体重増加は簡単に言えば「身体が栄養不足と判断しその分だけ栄養を求める事に伴う食欲過剰」です。
詳しく説明すると、本来身体は摂取した栄養を血液に乗せて運びます。
糖尿病の場合はインスリンがうまく働かないので、血液中の栄養をうまく細胞へ運べません。
それにより、栄養は最終的に排出される事になるので、いくら栄養を摂取しても身体は栄養不足の状態に陥るのです。
この為、いくら栄養を摂取しても「栄養が足りない」と食欲が過剰になります。
ただその割に、あまり必要としない脂肪だけはしっかりと蓄えます。
これが、体重増加の仕組みとなるのです。
その後、病状の悪化が進行し続け今度は体重減少となります。
ここまで来ると、大事な栄養どころか脂肪すら排出されるようになり、いくら食べても体重は減る一方となるのです。
この状態の場合、糖尿病は重症である事が伺え、早急な処置が必要となります。
体のだるさは、上記の栄養不足によるものです。
糖尿病が進行すれば体重増加・減少により体力が失われ、血液が栄養を正しく運べなくなる事により補充する機会も失い、いつまでも体がだるいという症状が続くのです。
これは、体重の異常と共に決まって現れる症状です。
手足の痺れについては、糖尿病の代表的な症状である「神経障害」によるものです。
糖尿病は血管や血液へのダメージとなる為、最初にダメージを受ける部分が心臓を拠点とし、そこから最も遠い末端である箇所・・・すなわち手や足に痺れという症状となって現れるのです。
次にかすみ目ですが、網膜周囲は細い血管・・・いわゆる毛細血管が集中しています。
糖尿病は血管にダメージを与える病である事から、やはり比較的弱い血管である毛細血管が早期にダメージを受け、かすみ目という病状となって現れるのです。
そして、放置すると最終的には糖尿病性網膜症を患う事となり、失明の恐れもあるのです。
最後は尿に糖が出るという症状ですが、これは身体に取り込んだ糖をうまく細胞に運べず、そのまま血液の流れに乗り最後は尿となって排出される事により起こります。
従来の糖尿病診断の指針となっていた病状です。
しかし、尿糖を排出するか否かは個人差があり、血糖値160の状態で排出される患者も居れば、血糖値200を超えても排出しない患者も居て、その精度が疑問視され近年では参考程度のものとなっています。
このように、いわゆる糖尿病の「一般的な症状」にはこれだけの種類があり、身体の一部分でなく全域に及ぶ範囲で蝕んでいく事が伺えます。
これらの症状が現れた際、万一を考え早急に医師へ相談する事が、糖尿病の進行を抑える手段になると考えられます。
監修:宮座 美帆
経歴&活動:
平成25年 臨床工学技士の資格取得。
同年より、広島大学病院に勤務し循環器・呼吸器・代謝内分泌などの疾患を対象に多くの仕事に従事し経験を積む。
現在は医療に関する執筆・監修をこなす医療ライターとしても活動中。
病院・クリニック・企業のHP内コラム等も担当し、読者のみなさまが「病院を受診するきっかけ」作りを積極的に行う。