糖尿病の「初期症状」の考え方

インターネットや書籍等により、世間では糖尿病に関する情報は溢れかえっています。
そういった情報の中で、よく「糖尿病の初期症状」という項目を見かけますが、これは一般的な病気には該当しないという事実を、糖尿病に関する知識が乏しい方は勘違いする傾向にあり問題になると考えられます。

そもそも「初期症状」とは、その病気に罹患した後に表れる最初に呈した病状を指し、多くの病気はそれに漏れず概ね正しい考え方であり、糖尿病にあっても「厳密には間違っていません」。
しかし、一握の疑問が残るのです。

パソコン
インターネットの「糖尿病の初期症状」を検索してみると…。

糖尿病を罹患するタイミング

糖尿病は長期に渡り高血糖症状が続いた後、様々な病状を呈する病です。
では、どのタイミングで糖尿病を罹患したのでしょうか?多くは

上記のように判定された場合に「糖尿病型」と診断され、この時点で糖尿病患者として扱われます。

しかし実際は、もっと以前から糖尿病だったかもしれません。
要するにこの病気は、「明確な罹患日が一切不明」なのです。
こうなると、初期症状にも不明確な部分が表れます。
糖尿病の初期症状とは、何をもって初期症状なのでしょうか?
糖尿病における「初期症状」とは、本当の意味で「最初に表れる症状」を指します。
喉の乾き、足の痺れ、食後の過剰な眠気、倦怠感、頻尿など・・・これらの病状が表れた後病院等で精査となり、結果糖尿病と診断されるケースが糖尿病発覚の大半なのです。

眠気
食後の過剰な眠気は注意が必要

糖尿病の「初期症状」は「進行状態」!?

しかし、この「初期症状」が表れた後に精査を受け糖尿病とされた場合、100%と言って良い程「進行状態」であり、中には緊急入院となる方も一定数おられます。
おそらく、糖尿病に関する知識に乏しい方の場合、「どうして?初期症状じゃないの?」と思われるでしょう。

一般的な「初期症状」の考え方は、「初期だから早期発見」「病状は進んでいない」が大多数であり、初期症状と聞けば希望すら沸いてくる事でしょう。
しかし、糖尿病の「初期症状」はこれらの考えを覆してしまうのです。

そして、そのような経緯で糖尿病が発覚された場合、合併症が引き起こされるまであまり時間は残されていません。
出来るだけ早急な対策が必要となり、身体や精神への負担は著しいものとなるでしょう。

合併症と言えば、神経障害等による失明、下肢部分の壊死、糖尿病性腎症・・・直ちに命の危険に見舞われるものばかりです。
挙げ句の果てに、悪性腫瘍、心筋梗塞、アルツハイマーのリスクの増加も引き起こし、かろうじて命を拾ったとしても、さらなる別の症状で長い将来に渡って苦しめられる可能性もあるのです。

これこそが、糖尿病の初期症状という言い回しに問題がある部分なのです。
糖尿病は、一度罹患してしまえば一生涯のお付き合いとなります。
油断すればたちまち血糖値は上昇し、それが長期に渡れば上記合併症を引き起こす恐ろしい病です。
よしんば病状が回復しても、今後血糖値を引き上げない為の治療や処置を、これから何十年と続けていかなければならないのです。

このままでは「初期なら大丈夫」などの勘違いが…

よって、「初期症状」と記載せずに「進行症状」「典型症状」と記載し、本当の意味で初期は無症状である事を全面的に押し出す事が、日頃からの身体への気遣いや糖尿病予防を促進する手段となるのではないでしょうか?
積極的な注意喚起が、糖尿病という病には必要なのです。

注意喚起
糖尿病は、よく言われている初期症状が出てからでは手遅れになります。積極的な注意喚起が必要です。

現状の「初期症状」のままで記載を続ければ、「初期なら大丈夫」などの勘違いを生み出し、無症状であれば糖尿病を意識する事もなく、そもそも糖尿病の存在すら頭に浮かんでは来ないでしょう。

症状が何も無くても、日常から糖尿病を意識する事が糖尿病の何よりの予防なのです。
「初期症状」という言葉に惑わされてはいけません。

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