HbA1cと糖尿病の症状

糖尿病の症状は、大きく分けると高血糖によるものと合併症によるものに二分されます。
名前の通り、尿に糖が出るのも糖尿病の症状です。
しかし、それだけではありません。

では、高血糖による症状、合併症による症状それぞれを挙げてみましょう。

高血糖による症状
喉が渇く(口渇)
尿がたくさん出る(多尿)、尿に糖が出る(尿糖)
だるい(倦怠感)
感染症にかかりやすくなる(易感染)
体重減少
意識障害(糖尿病性ケトアシドーシス、高血糖性高浸透圧性昏睡)

合併症による症状

腎障害
尿にタンパクが出る(尿蛋白)
尿が少ない(乏尿)、尿が出ない(無尿)
浮腫
心不全、肺水腫
意識障害
神経障害
手足末端のしびれ、痛み
起立性低血圧
排尿障害(神経因性膀胱)
脳神経障害
網膜症
視野中にススや小さな虫、黒いカーテンがかかってみえる
視力低下
視野狭窄

本当に、糖尿病には様々な症状が現れますね。
この中で、既に心当たりのある症状はありますか?
もしあったとしたら・・・危機感を持った方がよいでしょう。

HbA1cはいくつまでなら大丈夫?

糖尿病は、その症状が出るまでは治療を待っていてもよいのでしょうか?
いいえ、症状が出るということは、既に糖尿病が進行していると言うことです。
初期の糖尿病では、上にあげた症状は気づかないのが普通。
しかしそのまま放置すれば、命に直結するような重大なものに発展してしまいます。

もし命に直結するような緊急の症状が現れるまで糖尿病を放置していたら・・・。
気づいた時には既に手遅れ、ということになりかねないのです。

糖尿病が問題なのは、自覚症状が出ないこと。
仮に出たとしても、それはかなり進行してから。
そして、症状が出てからでは、取り返しがつかないことになってしまうから。

糖尿病を簡単に表すと、「全身の血管がボロボロになる病気」と言えます。
細い血管で栄養されている臓器から使い物にならなくなっていき、段々太くて主要な血管にまで病変が及んで来るのです。

では、細い血管ってどこにあるものでしょう?それは、目と腎臓・神経です。
だから、糖尿病と言えば糖尿病性網膜症と慢性腎不全・神経障害が問題になるのです。
そして、一度ダメになってしまった血管は元に戻りません。

つまり、一度目の症状が出てくれば、その後視力が回復することはありません。
腎臓が尿を作り出せなくなれば、その後一生人工透析をしなくては生きていくことができません。

そして太い血管はどこでしょう?心臓と脳です。
心臓には冠動脈といって、心筋を栄養する血管があります。
その中でも更に太い根元がつまってしまうと、緊急手術を行っても助からない、それ以前に病院にたどり着く前に亡くなってしまうこともあります。

こうなると、気づいたときというのは、すでに命と隣り合わせになっている状態。
運悪くそのまま心筋梗塞で亡くなってしまった場合は、自分が糖尿病であることすら気づかずに命を落とすことになります。

これらを踏まえて、症状が出てきた時では遅いとなると、糖尿病初期・糖尿病予備軍と言われている人は、どこまでなら大丈夫なのでしょうか? それを数値で示そうとすると、やはりHbA1cになりますね。
HbA1cは血糖と違って食事の影響も受けませんし、2か月という期間の平均血糖値を示してくれるからです。

では、HbA1cがいくつまでなら安心していられるのでしょう?糖尿病性網膜症に関してですが、HbA1c4.9%以下では網膜症の発症率は0.06%、6.5~6.9%になると、発症率は0.59%に上昇するというデータがあります。

この6.5%という値、何かピンと来ませんでしたか?そう、HbA1c6.5%というのは糖尿病の診断ラインなのです。
つまり、糖尿病と診断された時点で網膜症のリスクは高い状態にあるということ。

糖尿病は、診断された時点で既に大なり小なり命を縮める危険性をはらんでいるのです。
安心できるラインはないってことですね。

決して症状で判断せず、毎年の健康診断で基準値からオーバーしないよう、日々の生活習慣をコントロールしましょう。

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