血糖値を下げるはたらきのある食物にはいくつかの候補があります。
これまで、その中でも身近にあって食事などに取り入れやすいものをご紹介してきました。
さて、この記事では、もう一つ血糖値を下げる食べ物についてご紹介します。
その名も「菊芋(キクイモ)」という食材です。
血糖値を気にしている方や、糖尿病の治療を行っている方は見聞きしたことがあるかもしれないこの食材について、この記事でそのパワーをご紹介します。
キクイモ(菊芋)という食材を食べたことがあるでしょうか。
この食材は、もともと北アメリカが原産なのですが、すでに世界中で生育しており、日本では長野県や岐阜県などが生産地として知られています。
また、特産品として販売されているところでもあります。
日本には江戸時代の末期に作物として伝来されており、戦時中は食用として栽培されてきた歴史のある食べ物でもあります。
さて、ここで一般的な「イモ」についてご紹介しますと、ふつうイモには「デンプン」が含まれています。
記憶力のよい方は、学生時代にじゃがいもとヨウ素を使ってデンプンを反応させる実験を行った記憶が残っている方もいらっしゃるかもしれません。
デンプンは、イモ類のほか、トウモロコシや米、小麦などにも含まれている物質です。
このデンプン質の最大の特徴は、食物として摂取したときに、口の中で唾液に含まれる消化酵素「アミラーゼ」と反応すると、「デキストリン」という糖に分解されることが挙げられます。
米をよく噛むと甘くなるというしくみはここからくるのですが、じゃがいもなどのイモ類も同様で、デンプンが含まれていることによってうまみを感じるというわけです。
しかし、血糖値を意識している方々にとって、糖はご法度。
血糖値を上昇させてしまうおそれがあるためです。
では、このキクイモについて見るとどうでしょうか。
キクイモには、なんとデンプンがほとんど含まれていないのです。
ではうまみがないのかというとそういうわけではなく、キクイモにはデンプンに代わりに、「イヌリン」と呼ばれる多糖類が含まれており、これがキクイモのうまみとなっています。
ここでイヌリンについても、少し解説をしておきましょう。
イヌリンは多糖類のひとつで、果糖の集合体です。
このイヌリンの特徴としては、砂糖や他の淡水化物とくらべて、エネルギー量が3分の1から4分の1程度、脂肪との比較では6分の1から9分の1程度です。
また、なによりこの記事を読んでいる方にとって嬉しいはたらきは、血糖に対してほとんど影響を及ぼさないという点です。
うまみを損なわず、なおかつ血糖値に影響を与えない、血糖値を上昇させにくいという効果が期待されており、そのためにこのイヌリンを豊富に含むキクイモは、血糖値を気にする方にとっての理想的な食事のメニューとなりえるのです。
最近では、キクイモそのままの形での販売だけにとどまらず、キクイモから抽出した果糖を使用したり、イヌリンが消化される過程で、健康によいと評判の高い「オリゴ糖」となることから、オリゴ糖の顆粒や飲料品として販売されるケースも増えてきています。
糖尿病を患う方や、血糖値が日常的に高い方が増えてきたという世相を反映していて、キクイモがその解決策のひとつとなる期待を込めてのものといえるでしょう。
なお、キクイモにあまり馴染みの無い方もいらっしゃるかもしれません。
キクイモを手に入れたはいいものの、どのように食べたらよいのだろうか?と悩まれる方もいらっしゃるでしょう。
キクイモの調理法は多岐にわたります。
代表的なところでは、牛乳で煮たものやバター焼き、フライ、煮物などはおかずとして。
味噌との愛称が良いので、味噌漬けなども有名ですし、岐阜県では粕漬けも有名です。
また、スープにして食する場合もあります。
また、ネットでもキクイモの簡単にできるレシピなどを公開しているサイトなどもあり、こうしたサイトを参考にしてキクイモを調理するというのもよいでしょう。
健康によく、血糖値の上昇を招かず、血糖値が上昇することを抑制する効果を持つと言われるキクイモ、ぜひキクイモのレシピなどを研究して、日々の食事に取り入れてみてくださいね。