劇症1型糖尿病というのは、あっという間に1型糖尿病を発症するという糖尿病です。
1週間以内に発症すると言われています。
劇症1型糖尿病は、今週人間ドックを受けて健康であると言われた人が、翌週に高血糖(だいだいは異常なくらいの高血糖)でふらふらになって病院を訪れるといった具合に、 発症するまでの期間が短いのが特徴です。
劇症1型糖尿病は、インスリンを産生する膵島(すいとう)細胞の急速な破壊により急激に高血糖をきたし、時には命に危険性があり、たとえ回復してもインスリン産生の枯渇により、血糖コントロール困難となり、社会生活に高度の支障をきたす重大な疾患です。
また、血糖不安定であるため、合併症もきたし易いです。
「糖尿病の兆候は全くないのに突然発症し、数日~1週間で膵島(すいとう)細胞がゼロになる」
劇症1型糖尿病は、日本全国では、年間、おおよそ300人前後の発症数、有病者数2万人程度ではないかと推定されています。
小児期に発症するのはとても珍しく、患者の9割以上が20歳以上で、40歳前後に多く、女性は妊娠後期や出産後2週間以内の発症が目立ちます。
これまで健康であった60歳、70歳の方が急に発症してしまったという例もあります。
特定の白血球型やウイルス感染との関連が強く疑われていますが、不明な点が多く予防も難しいのが現状です。
HbA1cは高くないく、6%台、7%台がほとんどです。
つまり、高血糖状態に急激になってしまってHbA1cの上昇がおぼつかない状態といえます(HbA1cの上昇は高血糖状態が1~2カ月つづくことが必要です)。
上記のように症状は、口渇が最も多く、次に感冒様症状。発熱、咽が痛い、咳。
次に多いのが腹部症状。吐気、悪心。腹部痛。
そして、ケトアシドーシス※も重症なので高血糖による意識障害も起こしてきます。
急性期にはケトアシドーシスに対して、適切な輸液とインスリン投与が必須です。
全身状態について、呼吸、循環器の救急的管理が必要な場合もあります。
急性期から回復後は、インスリン強化療法など、通常の1型糖尿病の治療に準じて、食事療法、運動療法、インスリン治療、自己管理が必要となります。
思春期発症1型糖尿病の患者さんではまだ自分のインスリンが残っていることがありますが、劇症1型糖尿病は短時間にインスリン産生細胞がほとんど破壊されてしまうのが病態なので、反対に全くインスリンは残っていません。 しっかりと血糖値をみながらインスリン注射をきめ細かく行っていくことが必要となります。
ウイルス感染による膵臓炎、あるいはウイルス感染に対する免疫応答、または、その両方がインスリンを産生する膵島(すいとう)β細胞の急激な破壊につながると推測されているますが、その詳細は不明です。
高血糖、ケトアシドーシスによる昏睡を来し、治療が遅れれば、命の危険性があります。
急性期から回復後も血糖のコントロール困難であり、糖尿病に伴う、さまざまな合併症(網膜症、腎症、神経障害、動脈硬化症)のリスクが高いです。
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