糖尿病の検査では、”目”に関しても検査が行われます。
糖尿病を発症すると、目に関する合併症も発症する危険性が高まるからです。
糖尿病網膜症や糖尿病黄斑症などが検査の対象となります。
前者は、血糖値が高いことにより、眼底にある細い血管が少しずつ損傷を受けて変形したりすることにより、出血を起こしたりする病気です。
これが進行すると最悪では失明するケースすらあります。
糖尿病と失明がセットのように語られるのはそのためです。
出血が続くと、網膜剥離が起こります。
しかし、硝子体出血が起きている場合には眼底検査では状態が観察できないので、超音波検査が行われることがあります。
そして、糖尿病黄斑症は目の黄斑部分が損傷することで視力が低下する病気です。
この糖尿病黄斑症は、糖尿病患者のうち10%程度が発症する病気と言われています。
糖尿病黄斑症の特徴としては、糖尿病網膜症よりもより顕著に視力への悪影響がみられるということです。
これらの双方が、早期発見が重要で、検査を行って発見することで、治療の開始をすることが求められます。
血糖や尿糖の検査と合わせて、眼底検査なども定期的に受けるのが良いでしょう。
糖尿病網膜症の検査には、眼底検査のほか、造影剤を注射して、蛍光眼底造影検査といった検査が行われます。
造影剤を使う検査の場合には、眼底の状態を検査するほか、毛細血管の状態を検査するものもあります。
また、光干渉断層計という検査もあり、こちらは糖尿病黄斑症の検査で使用されます。
こちらは造影剤を使わず、赤外光で眼底をスキャンし、画像や断層像にする検査で、患者への負担が少ない検査として注目を集めています。
この検査の優れた点は、患者への負担が少ないだけでなくスキャンした画像を3次元様に映し出して目視できるという点です。
糖尿病の合併症としての眼の検査というのはあまりイメージがないかもしれませんが、眼への合併症は非常に深刻な影響があるため、早めの検査が必要と言えます。
糖尿病として診断が確定した方は、その多くがすでに治療を受けている方でしょう。
その水面下には、いまだ糖尿病という診断は出ていないけれど、糖尿病に近い位置にいる方、糖尿病の前段階とも呼べる方々がいます。
これを糖尿病予備軍などと呼ぶこともあります。
このような方々は糖尿病検査ではグレーゾーンと判定されます。
糖尿病と判定される領域にまでは行きついていないものの、健康な方の基準からすると血糖値が高め、と考えると、理解しやすいでしょう。
これらの方々は、糖尿病と診断がされていないことから、入院や本格的な治療は開始されていませんが、この状態の方々は何の対処も必要ないというわけではないことが、最近では指摘されています。
この状態に入ると、徐々に糖尿病の症状が進行して、実際に糖尿病と診断される程度のレベルにまで進行していってしまうと言われています。
ですので、医者が直接”糖尿病予備軍”という表現を使うかどうかはともかくとして、警戒が必要なレベルであることは間違いないことですから、医師に相談して定期的な検査を受けたり、指導を受けて食事や運動など、生活習慣の改善に取り組むのが良いでしょう。
この段階での投薬などはあまりないため、食事療法や運動療法のほか、ストレスマネジメントなどの対策も必要になってくるでしょう。
糖尿病はどことなく、大人の病気という印象があります。
確かに診断が出やすいのは40から50代であるため、その理解が間違っているとも言いきれません。
しかしながら、最近では子どもや幼児でも糖尿病にかかることが多くなってきたと指摘されています。
日本で現在問題視されている糖尿病は、2型糖尿病と言われ、これは生活習慣型とも言われます。
食生活や運動不足などが大きな原因となっています。
幼児であっても、肥満型の体型であったり、喉が乾きやすいなどがその兆候と言われています。
また、糖尿病の特徴として、尿に強い臭いがあるというのが挙げられます。
夜尿が多いなどの症状も特徴の一つとされています。
このように幼児・子どもでも糖尿病になる可能性がありますから、養育者がしっかりと幼児の健康管理を行うことが求められます。
特に幼児は、自分の体調変化を言葉で人に伝えることができないため、養育者や周囲の大人がしっかりと様子を見て、適切なタイミングで検査を受けるなどの対応を行うことが求められるでしょう。
糖尿病の検査では、血糖値の検査を行います。
検査を受ける側からすると、血糖値を少しでも下げて検査に臨みたい、と思うのは人情です。
しかし、糖尿病検査においてはそれはあまり意味がないことです。
検査のときだけよい結果が出ても仕方のないことで、普段の体の状態が糖尿病型でないかどうかを調べることが検査の目的となります。
とはいえ、検査当日にあえて血糖値を高くする必要性はなく、普段通りの数値で計測されることが望まれます。
そのため、糖尿病検査の一つであるブドウ糖不可試験では、検査の実施前3日間は炭水化物を150グラム以上含む食事を取ることが必要とされます。
この炭水化物が消化される際に、ブドウ糖となるためです。
このことからもわかる通り、検査前だからといって絶食をしたり、普段していないような食事制限を行うことは、(医師や検査実施機関の指示がない場合は)必要がありません。
むしろ、普段どおりの生活を心がけ、自分の現在のありのままの体調を正確に診断してもらうことを第一に考えましょう。