日本ではおよそ721万人が罹患しているといわれる糖尿病は、重篤化すると恐ろしい症状を呈するにも関わらず、検査を受けておらず糖尿病であることを本人が知らないでいるケースも少なくないと言われています。
お勤めをしている方は、会社で年に一回など、健康診断や健康ドックなどの受診を命じられたりする場合もあるでしょうが、そういった制度がない場合などは、なかなか血液検査を受ける機会がないというのもまた事実でしょう。
意外と知られていないのが、「献血をすることで糖尿病のチェックができる」ということです。
これは献血を行った人に対してこれまでも行われてきた、献血時の無料検査の項目に、血液中のグリコアルプミンの値を測定することによって調べる方法をとり、検査結果は本人に通知されるとのことです。
もちろん定期的に健康診断や血液検査を受けることが望ましいですが、献血であれば土日でも参加することができることや費用面などからも、まずは一次的な検査として受けやすいでしょう。
糖尿病検査のなかには、日帰りで済むものの他に検査入院を求められるものもあります。
集中的な検査が必要な場合などがそれです。
また、検査がまる一日をかけて行われるようなこともあります。
では、集中的な検査が必要な場合というのはどういう場合かと言いますと、まずその筆頭としては糖尿病の発症時ということになるでしょう。
糖尿病の検査として血液検査(血糖値)の測定は糖尿病の検査ではほぼ必修となりますが、入院をして検査するような場合と日帰りの健康診断の場合では、やはりその頻度も異なります。
日帰りの健康診断の場合ですと多くは空腹時血糖の測定のみに留まりますが、検査入院が必要な段階となりますと、食後に血糖値がどのように変化するかというようなことも含めて検査が行われます。
また、糖尿病に伴う合併症などを起こしていないかもこのタイミングで検査が行われます。
なお、糖尿病で入院している方に共通して抱かれるイメージとしての”食事制限”は、この検査入院の段階から適用となります。
人の血糖値(血液内のブドウ糖の度合い)は、一日中で変動します。
特に顕著な影響を与えるのは食事で、食事を取ることで血糖値が上昇し、これに対して人体はインスリンを分泌して血糖値を下げようというとします。
このような仕組みのため、当然食事を抜けば血糖値は低くなりますが、食事を取らない、つまり空腹時の血糖値が既定値を上回っていれば、食事を取っていないにも関わらず血液内のブドウ糖の値が高いということですから、糖尿病型であると判断されるわけです。
特に、検査当日の朝食を抜いた上で測定した血糖値が126mg/dL以上の場合は糖尿病型と言われます。
職場や学校などで健康診断を受け、その結果表をもらうことがあると思います。
しかし、大人数でいっせいに受ける健康診断などの場合、一人ひとりに表の見方や各数値の持つ意味などを一つ一つ説明することはまれで、簡単な説明文だけが書いてある場合がほとんどだと思います。
健康診断の結果のうち、糖尿病にかかわりの高い項目は、ずばり”空腹時血糖”と、”HbA1c”という項目です。
前者はともかく、後者はそれだけでは何を示しているのか解りづらいですよね。
HbA1cは、ヘモグロビンにブドウ糖が結合したものの割合をパーセンテージで示しており、値が高ければ糖尿病型であると言えます。
基準としては、空腹時血糖126mg/dLを下回り、HbA1cの値が6.4%以下であればひとまず糖尿病型と診断されることはありません。
しかしながら、両方とも下回ったから安心というものではなく、あくまで基準と考えておいたほうが良いでしょう。
また、血糖値そのものは基準以下であったとしても、肥満傾向と糖尿病は顕著に関わりがあると言われているため、健康診断結果を見るときには該当部分だけではなくあらゆる面から糖尿病を予防する姿勢が必要と言えるでしょう。
糖尿病検査では、血液中の血糖値とHbA1Cの同時測定によって検査します。
実際に糖尿病と診断するには血糖値の測定結果が採用され、治療プロセスの中でHbA1cを指標とします。
どのような検査機関で検査を受けるかは人により異なるとは思われますが、一応の目安として基準値というものがあり、それを超えれば糖尿病型、あるいは糖尿病と診断されますし、下回れば異常なしと診断されます。
しかしながら、検査結果で基準値を下回ったからといって、絶対に糖尿病にはならない、安心していいということではなく、生活習慣については常に改善していく姿勢が必要ですし、定期的な受診が望ましいことは言うまでもありません。
ですので、検査結果は生活習慣を乱してもいいかどうかの判断基準ではなく、普段からの生活習慣に対するフィードバックと考えるべきで、血糖値改善のための食生活や睡眠などの習慣、また飲酒など血糖値に悪影響を与えるような行動については、引き続き一生を通して注意を払ってあげる必要があるでしょう。