日常の中でなかなか意識する機会がないけれど、年に一度の健康診断などで唐突に言い渡される「血糖値」という数値。
適正値に収まっていれば問題はありませんが、血糖値が高い、つまり高血糖であったり、逆に低血糖であったりすると、深刻な病気を引き起こすリスクとなる場合があります。
最近では、日常生活の中での生活習慣、とくに食生活や運動などによって、身体の健康を維持しようという動きが活発です。
では、血糖値を簡単に下げる方法というのはあるのでしょうか。
そもそも血糖値はなぜ上昇するのか、という仕組みを知らなければ、血糖値が高い、という状況を理解することが難しくなります。
血糖値とは読んで字のごとく、血液内における糖の濃度です。
より厳密に言えば、この場合の糖とはグルコース(=ブドウ糖)ということになります。
血糖値が上昇する理由のもっとも単純なケースとしては、食事が挙げられます。
体内へ糖を含む食品を取り入れることによって、血糖値が上昇します。
この場合、糖と言っても甘いものとは限りません。
たとえばお米に含まれるデンプンは、口腔内の唾液に含まれる消化酵素、アミラーゼによって分解され、ブドウ糖となります。
このように、甘いものを食べなくても食事には血糖上昇リスクが存在するということになります。
生きていく限り食事をやめることはできませんから、上がってしまった血糖値を適正値まで下げる努力が必要となるわけです。
通常の場合は、食後に血糖値が上昇すると、体内でインスリンの分泌が行われ、血糖値を下げる役割を果たします。
しかし、先に述べたように健康診断などで「血糖値が高い」と言われてしまうようなケースにはいくつかのパターンがあり、食事を取っていない場面でも慢性的に血糖値が高い・食後にインスリンの分泌がされているが、充分に血糖値が下がっていない、などのパターンで高血糖に陥っていることが多いのです。
では、このように高血糖におちいってしまった方が、血糖値を簡単に下げることは可能なのでしょうか。
極論を言えば、医療機関でインスリン投与を受ければ確かに血糖値は適正値かそれに近い値まで落ち着くでしょう。
しかし、それは治療行為です。
そこに至ってしまう前に血糖値を適正値に収めたいというのが多くの方の望みであるはず。
これには、地道な努力と意識づけが必要不可欠となってきます。
先に述べたように、血糖値は食後に顕著に上がりますから、毎日の食生活を見直すことがまず第一の必須条件となることは間違いありません。
血糖値を下げるために意識するべきは、血糖値を上げやすい食べ物を知り、それらの食品を控えたり、分量の調整を行うこと。
そして、血糖値を上げることが少ない食品に切り替えるなどという地道な対策が必要となります。
さらに、対策として必要となるのは、食事だけではなく運動などの生活習慣の改善も必要となります。
運動が血糖値を下げる仕組みは、運動をすることによって、血中にある糖分がエネルギーとして消費されることによって血糖値を下げることにつながるわけです。
このように、血糖値を下げるためには食事・運動双方、つまり生活習慣を改善していくことが求められるわけです。
また、これらの対策は継続していくことによって初めて効果を上げてくるものです。
そのため、たとえば健康診断の前日とか一週間前から対策をしたからといって、そうすぐに効果が現れる、というものでもありません。
このことから考えると、「血糖値を簡単に下げる」方法はない、ということになります。
とはいえ、それでは結論にあまりに救いがなくなってしまうのも事実。
食事や運動による対策を日常に取り入れ、習慣化することによって、「対策と意識せずに」対策を取れると考えれば、実は糖尿病のリスクを大幅に低減できる、つまり、血糖値を上げない生活習慣を身に付ければ、それほど辛い生活とはならないでしょう。
肝心なのは、血糖値を「下げる」のではなく、「上げない」生活ということを心がけることが重要となるでしょう。
血糖値については、急激に下がるものではない、と理解し、1つずつ必要な対策を取っていく、という態勢で臨んでいく、というのが、血糖値対策の第一歩だといえるでしょう。