糖尿病患者にとっての足の管理と治療について

糖尿病の手足のしびれと治療

糖尿病によって血管がボロボロになると、神経を栄養する細い血管もダメージを受けます。
血流が十分にないと痛みや熱を感じなくなってしまいますが、その前段階がしびれとして現れます。

糖尿病そのもののコントロールがつかないと、神経障害もどんどん悪化します。
ただし、神経障害は比較的早期から現れるものの、完全に取り去るということは非常に困難。
一度傷んだ血管を修復することができないからです。

糖尿病と足の壊死と治療

糖尿病の患者さんには、フットケアが大切になります。
小さな傷から始まって、指がまるまる壊死して切断に至るということがあるからです。
普通なら、「そんなことになる前に気づくだろ!!」って思いますよね。
しかし、上で説明した通り、合併症である神経障害のために、痛みを感じることができないのです。

糖尿病患者さんが足に傷を負ってしまう合併症を、糖尿病性足病変といいます。
そしてこれを起こさないためにも、日頃から足を意識してチェックし、清潔に保つというフットケアが必要です。

誰しも足の先というのは、血流が悪くなりがち。
冬になると手足が冷えたり、しもやけを起こしますね。
その程度が、糖尿病の患者さんは強いわけです。
もともと血流が悪く、細くボロボロになった血管を通ってなんとか流れている状態ですね。

もし足に傷ができたら、それを修復するだけの血流量が必要なのに、それがない。
しかも小さい傷のうちに気づかない。
だから、壊死して真っ黒になってから来院する…ということもあります。
こうならないためにも、フットケアがとても重要なのです。

糖尿病の治療と魚の目

魚の目は、歩き方のクセや靴が合わないことで起こります。
糖尿病患者さんのボロボロの血管は、皮膚を治すための血流が不足しています。
その上感染に対して非常に弱い。
この二つが加わると、たかが魚の目と思って適当に自分で処置をすると、大変なことになってしまいかねません。

市販の貼り薬も使い方を誤ると、正常な皮膚までふやかしてしまいます。
それでいて、芯はとりきれません。
魚の目の処置は必ず早めに皮膚科を受診して、自分が糖尿病であることを医師に伝えた上で適切な処置を受ける必要があります。
そのためには、日頃から足をチェックして、硬くなっているところがないか、観察する習慣も同時に必要ですね。

糖尿病の治療と低温やけど

糖尿病の合併症、神経障害は本当に厄介です。
本来痛みというのは、身体を守るために必要な感覚です。
しかし、神経障害を起こすと痛みを感じなくさせてしまうので、危険を回避する行動も、早期治療もできなくなってしまうのです。

冬になると使う湯たんぽ。
最近は節約や省エネ志向もあって、手軽に使える湯たんぽが見直されてきましたね。
しかし、糖尿病患者にとって、湯たんぽは凶器になります。

湯たんぽにあたって本当は足が熱いのに、熱さを感じないために足をどけません。
40~50度でも、寝ている時間ずっと5時間も6時間も接していると、じわじわと皮下組織にまで低温火傷が起こります。
そして朝起きて気づくのです。

低温やけどそのものが普通のやけどより治りにくいのに、糖尿病が合併していると本当に治療に時間を要します。
ひどい場合はそこから感染や壊死を起こして、切断となることもあります。

糖尿病は、湯たんぽやあんか、ホットカーペットでさえも大きな傷になりかねないので、できるだけ使用は避けた方が、無難でしょう。

糖尿病の治療と水虫

実は水虫が痒いというのはウソ。
全然痒みを感じないタイプもあります。
指と指の間がじゅくじゅくして来たり、ひどい場合は足全体が炎症を起こして真っ赤になって、皮膚がボロボロになります。
この状態では、水虫治療もできません。
点滴で抗生剤を投与して一度炎症を引かせないと水虫治療薬を塗ることすらできないのです。

水虫治療は半年から1年の根気が必要。
更に糖尿病患者の場合は治療中にひどい炎症を起こすこともありますし、感染に対して弱いので治りも悪い。
たかが水虫、されど水虫、なんですね。

糖尿病の治療と巻き爪

フットケアに含まれますが、巻き爪にも注意が必要です。
巻き爪は靴の形状や歩き方、足の形によっても起こります。
ひどい場合はそのまま食い込んで、化膿したり肉芽と呼ばれる余分な肉が盛り上がってきます。

痛みに気づきませんから、巻き爪だけでは受診することがありません。
しかし、巻き爪による傷もばかにできません。
そのまま進行して壊死に至るような、糖尿病性足病変を起こしかねないのです。

まとめ

糖尿病患者にとって、足の管理は全身にも影響しかねません。
痛みで気付くのではなく、目でみて気付くようにしなくてはいけません。

そのためにも、毎日足を洗いながら小さな傷がないかチェックする、セルフケアがとても大切なんですね。

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