糖尿病の合併症ついては様々ありますが、目に関するものが多くあります。
今回は目の中心としたものとその他についてまとめてみました。
白内障についですが、目の中にある水晶体が白く濁り光などが感じられにくくなり視野などに支障がでるといったものになります。
糖尿病の方の白内障については比較的初期の場合でも濁りの部分が水晶体の中央部分が濁る場合があり、中央部分が濁るとそれだけものが見にくくなります。
症状が軽くものが見える場合については点眼などで症状が進まないようにするといった治療になります。
基本的には水晶体の濁りの部分を摘出する以外は視野の改善はありません。
目の濁りの部分をいつ頃に摘出するとよいかということについは、医師との相談の上、日常生活に支障がでる場合に行われるというものが一般的なケースです。
手術の内容的には日帰りでできる内容のものです。
多くの眼科医で行われているもので時間的には1時間位です。
手術の内容としは、超音波乳化吸引術といった方法でされるものが一般的です。
水晶体に小さな穴をあけ、濁った部分を細かくくだいて吸い出して、新しく人工のレンズを付けるといったものです。
保険適用ですが、レンズが多焦点眼内レンズを使用すると、自己負担部分があり先進医療となり費用が高くなります。
※多焦点眼内レンズ→遠近両用レンズですので老眼の方でも遠くのもの近くのものも同じ位見えるレンズ
参考文献「※白内障治療について 日本白内障学会より」
糖尿病の方の合併症のひとつの高血圧によって目の中にある特に細い血管がもろくなり、血液が流れにくくなって固まりが出たり、出血したりします。
治療のポイントはいかに初期段階で症状を抑えるかです。
網膜症の初期の段階の単純網膜症の場合は、比較的自覚症状も少なく、血糖値のコントロールによって血液の流れを良くするように気をつけることで症状が改善されます。
増殖網膜症の状態の手前の段階では、目の毛細血管に血が詰まり(血小板が溜まり)血栓となり血液が流れなくなってしまいます。
また静脈などが腫れるような感じもでてきます。
治療としては、血管がつまって血管が機能しなくなることで新しい細くもろい血管(新生血管)ができないように、レーザーを当てて、新生血管ができるのを防ぎます。
※レーザーを当てることで血管の機能が改善されるわけではありません。
※新生血管が引き起こす障害を未然に予防の目的がレーザー治療にあります。
この段階でもあまり自覚症状がありません。
症状的にかなり進み、本来の血管がつまり、新しくできたもろい細い血管である新生血管による影響ができます。
この時期の治療は、新生血管の破損を防ぐことになります(レーザー照射治療)。
また、新生血管の状態などをこまめに確認して、症状が落ち着くように治療します。
血管が詰まり、出血や進出液が出てきて、網膜や硝子体出血することになり、出血が広範囲になると視野欠損になり、血液が引いても網膜に影響があり見えなくなった部分は回復しません。
血液が引かない場合は手術によって硝子体を切除して人工の液体を注入します。
又、新生血管からの進出液の影響で網膜が癒着して剥がれてしまうと、これも手術によって剥がれたものを元の位置に戻します。
どちらも手術についても共通して言えることは、一旦視野が見えなくなってしまうと、手術をしても視野の回復はしません。
※細胞が血液が流れなくなって滅んでしてしまうと再生することはなく、もとに戻らないので、見えなくなった状態から改善することはありません。
糖尿病網膜症になると、その影響で他にもでてくるこがあるのでしょうか。
影響されるケースについては以下のようなものがあります。
糖尿病性網膜症はかなり進んだ段階でなければ、自覚症状が現れますが黄斑浮腫については、目が見える切な所の黄斑部が圧迫されて障害がでるものですので、網膜症の初期段階に同時に黄斑浮腫が起こっている場合は視野に障害が現れます。
※黄斑→眼球内にある硝子体を取り巻く膜(壁)→これを網膜といいます。
網膜の中央部分の黄色の膜のこと。
物を見る為に重要な部分。黄斑に障害があると視野低下があらわれます。
ステロイド剤(副腎皮質ホルモン)を眼球に注射で打つことで眼球内の黄斑の浮腫(むくみ)が軽減されます。
ただしステロイドについては糖尿病を悪化させる原因のひとつでもありますので、患部に血直接注射によって注入されます。
入院せずに外来にての対応となります。
注入後の経過も必要となります。
薬剤の効果は2週間~2カ月くらいとされる為、効果が薄くなると、再度注入となります。
目の中にVWGFという物質がたまることで黄斑浮腫になることが分かってきました。
このVEGFという物質が溜まらないように眼球内にアバスチンを注射で注入します。
入院せずに、外来にての対応となります。
参考文献「※糖尿病黄斑浮腫の治療法 千葉大学医学研究院眼科学より」
糖尿病の影響により眼圧が高くなることによって、視神経に影響を与え、視野低下へつながります。なかなか症状が出にくく、早期発見が視野低下、失明防止の鍵となります。
定期的に眼圧を測定することで、予防することが好ましいと考えられます。
参考文献「※糖尿病による失明と網膜症について(糖尿病セミナー) 糖尿ネットワークより」
糖尿病の方の合併症のひとつとして歯周病があります。
歯周病は歯周の(歯茎など)組織が破壊して、歯茎の炎症、出血、口腔内の悪臭、そして、歯が抜けるということが主な症状です。
糖尿病の方に多くみられ、また、歯周病がであれば、糖尿病症状が悪化しやすいといった相互関係がある病気と考えられています。
歯の中の病気と考えられている歯周病ですが、体の他の臓器にも影響されます。 虚血性心筋梗塞(心臓の血液の流れが問題となる病気)や動脈硬化の原因や、細菌が肺に入り込むと肺炎といった命にかかわる病気に繋がる原因にもなります。
具体的には、糖尿病の影響で唾液の量が少ない傾向があるので、血糖値のコントロールを行い、口腔内の状態を正常なものに近づける。
そして、次に日常的な歯のケアです。
歯磨きによって食べ物カスが歯や歯の隙間にのこらないようにします。(ブラッシング方法は歯茎をいためずにブラッシングします。)
※ブラッシング方法は歯科医師の指導で行ってください。
そして最後に専門医によって、歯についている歯垢を取り除くことです。
いったん歯についてしまったものは固まってしまって取れません。
歯科医で取り除き、清潔な状態を保ちます。
そして定期的に歯科医に通い経過を見て、専門医の指示に従います。
途中で自分の判断で治療をやめることがないように注意しましょう。
症状が治まっても口腔内の細菌が残っていれば再び症状として表れるからです。
参考文献「※口の中の健康(歯周病より) 糖尿ネットワークより」
糖尿病の人が水分を十分にとる必要があります。なぜでしょうか。
理由としては、高血糖によるものが多くあります。
それではなぜ高血糖の場合、水分を必要とされるのでしょうか。
高血糖によって、体液の細胞内の水分が外に出て、また吸収した水分も尿として排出してしまい、血液内の細胞がいつも脱水している状態と同じような感じになっている為です。
※糖尿病の脱水の状態は体液内で細胞の電解質のバランスが崩れてしまい、低ナトリウム状態となる場合が多くあります。
水分量以外に体内の電解質(ナトリウム)のバランスも重要となります。
よって、急激に水分だけを多量に飲むことは体に負担がかかりますので、一度に200ccくらいで取り、1日に必要な量をとることが大切です。(目安的には1から1.5リットルくらい)
体液中の電解質のバランスが崩れた状態から起こり、のどの渇きや脱水敵な症状を改善するためには、日ごろの血糖値のコントロールが不可欠となります。
現在治療している薬剤が高血糖に関係する場合もあります。
その場合については、同じ効果で違う薬にするなどをして対応を検討します。(医師の指導のもと)
※例えば眼球治療の副腎皮質ホルモンや利尿剤などを利用の場合などがあります。
※原因としては、インシュリンが極端に不足したために起こるもの。
血液が極端に酸性化された状態です。
緊急対応が必要とされます。
症状 | めまい、意識障害、ケント臭の尿(甘い臭いの尿)、脱水状態からの多飲、多尿、脱力感があります。 |
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治療法 | 病院にて緊急対応にて、点滴で生理食塩水を投与、インシュリン投与です。またカリウム投与もあります。 |
※原因としては、糖尿病治療の利尿剤ホルモン剤による高血糖状態や脳血管障害、感染症、高カロリー輸血などがあります。
症状 | 脱力感、倦怠感、脱水症状による多飲、多尿、意識障害などです。 ※糖尿病ケトアシドーシスに比べて症状発症に時間がかかる。 |
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治療法 | 病院にて、点滴で生理食塩水投与を行います。 |
脱水状態が引き起こす急性の命にかかわることもありますので、日頃から水分の摂取と血糖値のコントロールには注意する必要があります。
また糖尿病で服薬している薬や合併症の治療のための薬のために脱水状態が起こりやすものがありますので、こういったことも事前に医師に確認をすると良いでしょう。
参考文献「※糖尿尿という病気より(糖尿病性昏睡より) 京都大学糖尿病・内分泌・栄養科より」
糖尿病にかかると健康な人よりも体がだるいといたことがあるでしょう。
ではなぜ、体がだるいのでしょうか。
原因は細胞内に栄養が届かなくなってしまっているからです。
糖尿病によって、食べ物からの栄養が分解されブドウ糖に変化します。血液中のぶどう糖を吸収して細胞にネネルギーを与える為にはインシュリン必要なります。インシュリンによって血液中のぶどう糖が吸収されて細胞に送られるのですが、このインシュリンの働きが低下すると、細胞内にエネルギーが行き届かなくなるために、疲れてしまう。ということになります。
参考文献「※糖尿病について 越谷レイクタウン内科より」
インシュリンの効果が過剰に効きすぎる時に血糖値が下がりすぎる時に起こるものです。
原因としては、食事をとらずにインシュリンを投与する、決められた時間や使用料、回数などでインシュリンが体内に多くのこる為です。
症状 | 倦怠感、だるさ、体の冷え、ふらつき、頭痛、意識障害などです。 |
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対処法 | 糖分摂取による血糖値上昇 *砂糖10から20gをすぐに、食べることで改善されます。 |
参考文献「※糖尿病について 京都大学糖尿病・内分泌・栄養科より」
細胞に栄養が行き届くようにすること。インシュリン分泌をよくすること。です。
糖尿病1型 | インシュリンを作る機能に問題があるケース→インシュリン治療 |
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糖尿病2型 | ①初期的な方→食事療法・運動療法による対処的療法と確認 ②糖尿病の症状が進んだ方→対処療法プラス薬物による治療、インシュリン治療となります。 |
糖尿病1型の方はインシュリンの分泌がないなどの方ですので、体内の栄養維持のためにはインシュリンを症状によって医師の指示の元、回数と量が決められていますので、それにしたがって注射にて投与します。
糖尿病2型の方(生活習慣病や高齢などが原因の場合)は、初期段階では、食事によるコントロールで、しっかりと3食バランスのとれた食事を取ることと、適度な運動で細胞に必要な栄養が届く流れを作ることを重点とします。
食生活改善と運動で体のだるさ、倦怠感が改善されない場合は、服薬によってインシュリンの働きを活発にすることやインシュリン治療も追加されていきます。
糖尿病治療には食事・運動のバランスが大切といえるでしょう。