なぜ糖尿病は怖いのでしょうか?
発症してしまうとどこか痛んだりするのですか?
糖尿病は一度罹ったら完全に治ることはありません。
一生コントロールが必要になるのです。
糖尿病自体が痛みを発することはありません。
血液中の糖分である血糖値が高い状態が続くと、全身の血管が傷んで不可逆的な合併症を発症するからです。
そして、合併症によっては命の危険があるからです。
合併症は、糖尿病が原因となって起こる別の病気のことだと分かるのですが、具体的な合併症の症状を教えてください。
糖尿病の合併症は、血管が傷むことによって起こるものが殆どです。
三大合併症と呼ばれるものは細い血管、動脈硬化症に伴って発症するものは大血管が傷むことで起こります。
細小血管障害(三大合併症) | 網膜症、腎症、神経障害 |
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大血管障害(動脈硬化症) | 狭心症、心筋梗塞、脳梗塞、閉塞性動脈硬化症 |
糖尿病性足病変 | 神経障害や血管障害を伴う、下肢の感染症や壊疽 |
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網膜症以外の合併症 | 白内障など |
皮膚合併症など | 糖尿病黄色症 |
歯・口腔合併症 | 歯周病 |
糖尿病が確定してしまったから、インスリンや内服薬を使うからもう好きに食べていい、と考える人が大勢います。
しかし、糖尿病は発症したらここからがスタートなのです。上に挙げたたくさんの合併症の中で、大血管障害はすぐに命に関わる問題です。
また、三大合併症として知られる網膜症は日本の失明原因の第一位ですし、腎症は日本の透析導入原因の第一位です。
これらはすぐに命の危険があるのではありませんが、時間をかけてじっくりと起こります。
逆に考えると、糖尿病になってしまっても、コントロールが良好ならばこれらを防ぐことができるのです。
血管病変は目に見えることがないので、いつの間にかじわじわと侵されているのです。
糖尿病が怖いというのは、サイレントキラーと呼ばれることに加え合併症のせいなのですね。
監修:宮座 美帆
経歴&活動:
平成25年 臨床工学技士の資格取得。
同年より、広島大学病院に勤務し循環器・呼吸器・代謝内分泌などの疾患を対象に多くの仕事に従事し経験を積む。
現在は医療に関する執筆・監修をこなす医療ライターとしても活動中。
病院・クリニック・企業のHP内コラム等も担当し、読者のみなさまが「病院を受診するきっかけ」作りを積極的に行う。