糖尿病の検査を朝から受ける場合には、通常前日からの食事制限や飲料についての制限が指示されます。
制限の内容は、検査の種類や実施機関によって多少の差がありますので、まずは実施機関からの説明をしっかりと確認しておくことが、正確な検査結果を導くために必要なこととなります。
しかし共通しているのは、検査前日にはアルコール類の摂取が禁止されるか、あるいは摂取量の制限を受けること、そして、激しい運動が禁止されることです。
これらは検査結果に影響を及ぼす可能性があるため、すべての実施機関で同様の説明を受けることは確実でしょう。
これらの指示をよく守り検査当日を迎えることが、正確な検査結果を得るための重要な要素となります。
糖尿病検査には、その前提として絶食期間があります。
概ね検査の10時間から14時間前ころから絶食が命じられます。
また、検査が終了するまでの間は水以外は摂取できないのが一般的です。
これは、もちろん検査に影響を及ぼすことを避けるためです。
病院などの検査の実施機関に検査の予約をするときには、このように絶食期間や食事、飲料の制限や禁止事項などが指示されますので、その指示に従うことが必要となるでしょう。
普段摂取しているものを我慢しなければならないのは辛いことですが、こうしてしっかりとした検査を経ることで、自分の状態をしっかりと把握し、治療が必要であればそちらに適切に取り組んでいくことができます。
自分だけの判断ではなく、医師や医療機関の協力を得ながら、自身の体を整えていきましょう。
血糖値は、血液中のブドウ糖の量によって判断するものですが、通常この数値はHbA1cという数値を用います。
そして、もう一つ血液中に多く含まれている糖として、1.5AG(1.5アンヒドログルシトール)というものがあります。
この糖は腎臓で濾過され、尿から排出されます。
そのため食事等から体に取り入れられた糖と、尿から排出された糖の量はほぼ一致します。
しかしながら、血糖値が上がってくると、尿への糖の排出が多くなるため、血中の1.5AGの濃度は低減します。
この濃度の増減は、血糖の変化を迅速に表すため、糖尿病の進行状況や経過観察において、重要な指標となる数値です。
また、この1.5AGの数値は、現在のリアルタイムな血糖の状況を把握できるほか、食事による影響もないため、糖尿病の検査では欠かすことができません。
この検査で異常がみられる場合には、糖尿病のほか、腎不全などの可能性も出てきますので、検査結果が思わしくなかった場合には、やはり医師との相談のうえで、適切に治療や経過観察などをしていくことが望ましいでしょう。
糖尿病には1型と2型があります。
それぞれ、糖尿病になる原因に若干の違いがあり、1型糖尿病は、自己免疫系疾患である場合で、2型糖尿病は生活習慣病である場合、と大別されます。
検査にあたっては、1型なのか2型なのかを判別することが求められます。
2型だという確証が得られたなら、生活習慣を分析し、家族の既往歴や、食生活、運動、アルコールの摂取頻度・量などを問診によって分析していきます。
最近の話題でいうと、ペットボトル症候群といわれる清涼飲料水の摂取頻度による糖の過剰摂取によって、急性の糖尿病を患っていないかというところに検査が進みます。
また、糖尿病を患うような原疾患の有無、体重の増減、自覚症状などについても問診が行われます。
これらの問診結果とともに、血液検査などの結果を踏まえて実際の治療方針を決定していくような手順となります。
糖尿病の検査において、ブドウ糖を経口摂取(飲み込んで)、その糖分の増加に対してインスリンの分泌という反応の様子を観察する試験があります。
これが75g経口ブドウ糖負荷試験です。
75gOGTTとも呼ばれますが、この試験は、糖尿病かどうかがはっきりしていない段階の患者に向けて行われます。
その理由は、すでに糖尿病という診断が確定している方にとっては無意味な試験である以上に、高血糖を引き起こしてしまう危険性すらあるためです。
検査の順序としては、空腹時採血を行って血糖値を測定し、ブドウ糖を摂取したのちに再度の血糖値の測定を行います。
ブドウ糖摂取後は、30分、1時間、2時間おきに採血をして血糖値を測定することになります。
これによって、時間経過とともに血糖値がどのように変化していくのかも観察することができます。
その意味で、糖尿病の診断を確定させるうえで欠かすことのできない検査だと言えるでしょう。
妊娠中の糖尿病検査の重要性については、胎内の赤ちゃんにも高血糖などの症状が現れることからも知ることができます。
妊娠中の血液検査でも、経口ブドウ糖負荷テストが行われます。
食事の時間に関係なく随時行われる検査としては、50gGCTと呼ばれ、50gのブドウ糖を用いて検査が行われます。
この検査は、75gOGTTの検査において異常がないと判断された方が対象となります。
75gOGTTの検査については、朝食を抜いて空腹の状態で検査が行われます。
妊娠糖尿病の危険性が強い妊婦の方はこの検査が妊娠初期から行われ、慎重に血糖値の推移が見守られます。
妊娠している方が糖尿病になってしまうと、赤ちゃんは高血糖となり、さらに出産後は、赤ちゃんが低血糖になる危険性があります。
母体と赤ちゃんの双方が健康で過ごすためにも、この糖尿病検査を行うことが非常に重要なことだと言えるでしょう。
監修:宮座 美帆
経歴&活動:
平成25年 臨床工学技士の資格取得。
同年より、広島大学病院に勤務し循環器・呼吸器・代謝内分泌などの疾患を対象に多くの仕事に従事し経験を積む。
現在は医療に関する執筆・監修をこなす医療ライターとしても活動中。
病院・クリニック・企業のHP内コラム等も担当し、読者のみなさまが「病院を受診するきっかけ」作りを積極的に行う。