医療機関を受診して検査を受けたり、治療を受けたりすると、当然医療費がかかってきます。
それらは、診療点数として管理され、そのうち自己負担額として算定されたものが、検査を受けた側が支払う金額となります。
これらの算定は病院の事務の方々がしてくれますが、お金を支払う際にはやはり気になるもの。
糖尿病の検査に関わる項目としては、まずHb1Ac、これは血管内で、ブドウ糖がヘモグロビンに結合してHb1Acとなっている値を測定するものですが、この診療点数は50点です。
尿検査が行われた場合には、検査実施に26点、検査判断には34点です。
これらは代表的な検査ですが、本人の身体・自覚症状の状態によって検査項目は異なります。
またすでに糖尿病の診断が確定していて、在宅療養に入っている場合、入院している場合などでも検査項目が変わることもあります。
もちろん、症状の軽重によっても変わります。
そのため、この検査は必要ない、と安易に判断はできないものでしょう。
糖尿病は基本的に、血糖値が高い状態が続く、それをコントロールできなくなる病気です。
そのため、糖尿病を治療するために、血糖値を下げる必要があります。
糖尿病と診断された方の多くは食事の改善などだけでは足りず、飲み薬・インスリン注射の治療が施されます。
実はこれには注意が必要なのです。
インスリンは、血糖値を下げる働きを示します。
通常人間の体は血糖値が高くなると必要量のインスリンを分泌して血糖値を抑えます。
糖尿病患者の方は必要量を分泌できないか、分泌していても血糖値が下がらないため、治療としてインスリンを注射するわけですが、外部からインスリンを取り入れたときに、必要以上に血糖値が下がり、低血糖状態になってしまうことがあります。
糖尿病の方はとにかく血糖値を下げることが第一の目標となりがちですが、血液内にまったく糖が必要ないわけではなく、適量の血糖値がなければむしろ人体は危険な状態になります。
具体的には、まず自律神経失調症状が現れます。
発汗、吐き気、動悸などです。
さらに血糖値が不足してくると、中枢神経が失調し、錯乱、めまいなどが現れます。
ここよりさらに低血糖となると、今度は意識障害や昏睡状態となります。
そのまま死亡するというケースもありえます。
このため、糖尿病の検査や治療では、低血糖状態にないかどうかにも注意を払う必要があるのです。
糖尿病は、その名のとおり排出される尿の中に糖が含まれます。
血糖値が170から180mg/dLを超えると、尿の中に糖が出始めると言われています。
つまり、血糖が正常値の範囲内にあれば、尿中にはほとんど糖は検出されない状態が正常ということになります。
ですので、尿糖陽性ということになれば、何らかの異常が身体に起こっているということになります。
しかしながら、尿糖=糖尿病と安易に決めつけられないことと、尿糖がない=糖尿病の心配はない、とも決められないのが難しいところではあります。
前者について言えば、尿糖が出ている場合でも、血糖値が正常であるのなら、腎臓に問題が発生しているということが考えられます。(腎性尿糖などと呼ばれるものです。)
そして後者について言いますと、もともと血糖値が高い方については、尿糖が検出されないという問題があります。
そのため、糖尿病を疑うのであれば、尿糖だけで判断することはできず、糖尿病以外の疾患を早期に発見するという意味でも、定期的に健康診断や血液検査を受診することが望ましいことは、言うまでもないでしょう。
妊娠に、糖尿病を発症することがあります。
これは妊娠糖尿病と呼びます。
家族に糖尿病患者がいたり、妊娠している赤ちゃんが大きい場合に妊娠糖尿病を発症する可能性が高いと言われています。
妊娠糖尿病は、その疾患をもつ母体への悪影響はもちろんですが、胎内の赤ちゃんもまた高血糖となる可能性が非常に高いそうです。
また、出産後にも様々な悪影響があると言われているため、妊娠している女性の方は、血糖値のコントロールに特に注意を払う必要があるのは明らかでしょう。
妊婦糖尿病は、およそ2%ほどと言われます。
この比率を多いと感じるか少ないと感じるかは人によるでしょうが、少なくとも自分の健康、そして赤ちゃんの両方の健康のため、しっかりとした体調管理が必要でしょう。
場合によっては、自分自身だけではなく、周囲や医師からの指摘も受けながら、体調管理をしていくのが良いでしょう。
糖尿病の検査をするためにはどれくらいの期間が必要なのでしょうか?
また検査だけでなく、治療や入院にはどれくらいの期間が必要かというところも本人にとっては重要でしょう。
検査については通常、日帰りや通院での検査が主なものとなります。
しかしながら、検査の中でも、日帰りや通院ではできないような集中的な検査を行う場合には、検査入院となります。
概ね期間は3から4日の入院となるようです。
実際に糖尿病と診断された場合には、治療のための入院と、生活習慣の指導のための入院とがあります。
治療のための入院は症状が重度になっている場合が多く、ひと月ほど入院することが多いようです。
生活習慣の指導は食事や運動の方法などを教育するもので、基本的には一週間程度の入院期間となります。
これらの入院期間中にも、随時あるいは毎日、検査が実施されることとなります。
監修:宮座 美帆
経歴&活動:
平成25年 臨床工学技士の資格取得。
同年より、広島大学病院に勤務し循環器・呼吸器・代謝内分泌などの疾患を対象に多くの仕事に従事し経験を積む。
現在は医療に関する執筆・監修をこなす医療ライターとしても活動中。
病院・クリニック・企業のHP内コラム等も担当し、読者のみなさまが「病院を受診するきっかけ」作りを積極的に行う。