糖尿病の症状が現れるライン

糖尿病は、原則「完治する事のない」病気です。
糖尿病と診断された時点で、これから人生を終えるまであなたは糖尿病に罹患されている状態となります。
しかし、糖尿病に罹患されている方で、これといった症状が無いままそのまま人生を過ごされる方や、糖尿病合併症が直接的な原因となって命を落とされる方も居ます。

これといった症状が無いまま人生を過ごされる方は、常時身体に気を使い血糖値を抑え続け、病状が現れないよう努力を重ねた方が大半となります。
ごく少数糖尿病と診断された後に、特に生活への配慮を何もしなくても、全く病状が現れないままの方も居ます。

逆に、糖尿病を原因として命を落とされる方は、多忙等の理由により病状が現れても診察を受けず放置し、致命的な病状が現れた後に診察を受けるも手遅れの状態であったり、自ら医師の指導を無視し乱れた生活習慣を送り続け、結果的に手遅れになった方、そしてこれは割合としてはかなり少数ですが、進行を抑える為の処置や努力を行ったにも関わらず、それが実らなかったという方も居ます。

糖尿病の症状が現れるには個人差がある

このように、糖尿病患者の人生の行き先は千差万別と言えます。
本人の意識以外で、一体どのような差があるのでしょうか? 糖尿病の症状が現れるには、糖尿病に罹患してから非常に長い年月を必要とします。
長らくに渡り血糖値が上昇する事により、血管を痛めつけそれに伴う異変を身体は呈します。
ここまではどの糖尿病患者も同じなのですが、「耐性」という意味で個人差が現れるのです。

例えるなら、Hba1c6.7が長く続けば病状が現れる方と、Hba1c8.0が長く続いても病状が現れない方です。
皆が皆、一定のHba1cで病状が現れる訳ではありません。
やはりそこには、血糖値に対する身体の耐性が関係しているのだと考えられます。

日本人の多くは「耐性」が低い!?

日本人の多くは、ここで言う「耐性」が低い方がほとんどです。
しかし、時に血糖値に対して強力な耐性を持つ方が実際に居るのです。
そういう方こそ、「ごく少数糖尿病と診断された後に、特に生活への配慮を何もしなくても、全く病状が現れないままの方」なのです。

逆に、著しく耐性が低い場合は「進行を抑える為の処置や努力を行ったにも関わらず、それが実らず命を落とされた方」となります。
理不尽と思われるかもしれませんが、これが現実なのです。

自分の状況を把握する

病状が現れないごく少数の方を羨んでも仕方がありません。
今の自分が何処にいるのか、まずはそれを認識する必要性があるのです。
それを知る事により、これまでと比較して容易に糖尿病を原因とする病状への対処が可能となるでしょう。

なので、もしあなたに何かしらの病状が現れた場合、現在の血糖値やHba1cを確認し、自分はどのラインで病状が現れるかをしっかりと確認しなければなりません。
そのラインを常に下回る事で、糖尿病患者の大多数である「常時身体に気を使い血糖値を抑え続け、病状が現れないよう努力を重ねた方」となるのです。

しかし、一度油断をすればたちまち「多忙等の理由により病状が現れても診察を受けず放置し、致命的な病状が現れた後に診察を受けるも手遅れの状態の方」や、「自ら医師の指導を無視し乱れた生活習慣を送り続け、結果的に手遅れになった方」となりますので、常に気持ちを引き締めるつもりで考えましょう。

ただし、いくら耐性があったところでhba1cが12.0の状態のまま長期間放置するのは、「物理的に」身体が耐えられません。
結局、病状があろうが無かろうが、糖尿病の為の対処は必ず求められるのです。
今回述べたのはあくまで指針のひとつであり、これを目安に血糖値と付き合う事が、これからの人生を問題無く謳歌する為に必要だと考えられます。

この記事を監修した人

監修:宮座 美帆

経歴&活動:
平成25年 臨床工学技士の資格取得。
同年より、広島大学病院に勤務し循環器・呼吸器・代謝内分泌などの疾患を対象に多くの仕事に従事し経験を積む。
現在は医療に関する執筆・監修をこなす医療ライターとしても活動中。
病院・クリニック・企業のHP内コラム等も担当し、読者のみなさまが「病院を受診するきっかけ」作りを積極的に行う。

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