糖尿病諸症状の中で割合の少ないもの

糖尿病を示す症状は数多くあり、糖尿病罹患者、糖尿病に対して知識がある方であれば、必ず知っていると言っても良いでしょう。

大抵、これらの症状を経由してから糖尿病合併症に行き着く事になるのですが、大半は前述した症状が現れ病院を受診、又は健康診断等で糖尿病が発覚し、合併症にまで至らないよう服薬をしたり、血糖値のコントロールをして改善に向かうのです。

では、前述した症状以外の症状は一切現れないのでしょうか?ご存じの方は多いでしょうが、答えは「現れます」。
糖尿病の症状は、最終的に行き着くところは同じ(合併症)なのですが、そこに至る経緯にあってはかなり個人差もあるのです。

糖尿病の初期症状について

糖尿病の代表的な「初期症状(厳密には「初期」ではありませんが)」として「足の痺れ」があります。

この症状が現れず
「便秘や下痢」
「繊細さを求められる作業が出来なくなった」
「身体がむくむ」
「多汗」
「顔が赤い」
「首の皮膚が硬い」
「おでき」

このような症状で糖尿病が発覚する事もあるのです。

何故このような現象が起こるのでしょう?
それは血糖値上昇に対するその患者の、身体各部位の強弱が挙げられます。
例えば、血管が極めて強ければ血糖値上昇による血管へのダメージも緩やかになります。
腎機能が高ければ、インスリンの分泌も活発で糖尿病に罹患する確率も減少します。

このように、強弱に個人差があり強い部分には症状が現れず、弱い部分に症状が現れるのです。
ここで言う「割合の少ない症状」とは、代表的な症状が現れる起因となる身体各部位や機能が極めて強く、その他別の部位で症状が現れてしまった事を指すのです。

もっとも、現れる全ての症状は神経障害若しくは血流や血管の障害を起因としています。
その部分だけは、糖尿病という病気の特性故に不変的なものなのだと考えて良いでしょう。

このように、代表的な症状が一切現れずに割合として少ない症状で発覚された方も意外に多く実在するのです。
発熱で受診したら血液検査で発覚した、その他の病気を疑って受診したら発覚したなど、その発覚はほぼ偶然である事がほとんどです。
よって、定期検診の心強さが重々に理解出来ると思います。

しかし、職場等で定期検診を受けられていない方でこのような症状が現れた場合、さらに進行し合併症手前くらいにならないと発覚する事は無いでしょう。
割合の少ない症状だけで、自分を「糖尿病だ」と判断するのは100%不可能ですから。

糖尿病の判断材料としては極めて弱いものばかりですし、そもそも気にしないか別の病気を疑います。
これらの症状で、糖尿病という答えに行き着く方は皆無だと言えます。

糖尿病の診断について

糖尿病は、空腹時血糖値や糖付加試験を経て初めて糖尿病と診断されます。
しかし、血液検査をするのも糖付加試験をするのも、そこに患者が居なければ何も始まらず、検査を行う事も出来ないのです。
少しでも気になったら検査をする事を強く推奨します。
糖尿病を発覚させるのは検査のみです。

よって、代表的な症状のみを見て端的に受診の有無を判断するのではなく、糖尿病に対する知識の向上をさらに図り、総合的な思考を持つ事が求められます。
言葉の端だけ見て、「自分は糖尿病じゃない」と判断する事に何も根拠は無いからです。

ただしこのケース、糖尿病を不安視する方にとっては意外に盲点となります。
糖尿病を不安視しているのであれば、通常すぐに「これも糖尿病の症状かも」と気にしてしまうと思われますが、実際は代表的な症状を気にするあまり、ごく少数の、稀少な例には無頓着になってしまうのが現状です。
糖尿病の自己判断には、多角的な視点を必要とするのです。

この記事を監修した人

監修:宮座 美帆

経歴&活動:
平成25年 臨床工学技士の資格取得。
同年より、広島大学病院に勤務し循環器・呼吸器・代謝内分泌などの疾患を対象に多くの仕事に従事し経験を積む。
現在は医療に関する執筆・監修をこなす医療ライターとしても活動中。
病院・クリニック・企業のHP内コラム等も担当し、読者のみなさまが「病院を受診するきっかけ」作りを積極的に行う。

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