糖尿病治療に注意すべき点

糖尿病の治療『運動』

糖尿病が発症する条件、覚えているでしょうか?

運動をすると、インスリン抵抗性が改善し、高血糖の是正が期待できます。
また、運動そのものがカロリーを消費しますから、これも高血糖を抑えることができます。

運動をしましょうというのは、体重を落とすことではなくこの二つが目的。
勿論、運動をして体重が減れば、それはいいことですけれど。

糖尿病治療と体重

糖尿病患者さんは太っているというイメージがあるでしょうか?確かにそういう人もいます。
ところが、実は日本人はあまり太っていないのに糖尿病になってしまう人が多いのです。

上に挙げた糖尿病の発症する条件のうち、インスリンの分泌量が関係します。
欧米人はお腹周りの大きい人が大勢いますが、意外にも糖尿病を発症している人は少ないですね。
脂肪肝や肝機能の異常は出ますけれど。
何故かというと、インスリンを分泌する膵臓がタフだからです。

一方で、日本人は膵臓が欧米人程タフではない。
だから、太る前に糖尿病を発症してしまうのです。

運動をする目的は、体重を減らすことではないのです。
インスリンの抵抗性を改善することと、高血糖(特に食後)の是正です。
ですから、「体重は平均なのに糖尿病」と言う人も、運動は必要。
ただし、「適度」にしておきましょう。

糖尿病治療とHbA1C

随時血糖 200mg/dl
早朝空腹時血糖 126mg/dl
HbA1C 6.5% ※NGSP値

糖尿病の診断基準は上の通り。
まずはこの値を改善していくことが、糖尿病治療の目標になりますね。
糖尿病は自覚症状に欠けるので、数値としてみるなら血糖値やHbA1Cを正常値に戻すことを目安にしてみましょう。

ただし、いきなり運動を増やしても続きませんし、身体にも負担がかかります。
膝や腰を傷めることになりますので、ランニングではなくて、ウォーキングからでいいんです。
食事療法も同様です。
いきなり3食きちんと食べることを義務づけたり、食事量そのものを減らしたり間食をいきなりゼロにしていくと、必ず無理がきてリバウンドしてしまいます。

糖尿病治療と糖質制限

糖尿病は数値が仮に正常範囲内に入ったとしても、完治はありません。
ですから、一生つきあっていかなければいけないし、食事療法も運動療法も一生続けて行く必要があるのです。
だから、無理はいけません。
続けること、少しずつハードルを上げることを意識しましょう。

ダイエットでよくリンゴダイエットやバナナダイエット、きなこダイエットetc.○○ダイエットとなるようなダイエットがあります。
けれど、それを一生続けることができるでしょうか?

糖質ダイエットもそう。
糖質を極端にカットしたら、確かに摂取カロリーは減ります。
でも、それって不自然ですし一生続けられるでしょうか?

いつものお茶碗に2/3しかご飯が入っていないと、なんかむなしくなりませんか?それなら、一つお茶碗を新しくしてみましょう。
その時、自分がとても気に入るもので、かつ今までのものより一回り小さいものにするのです。

そうすると、無理なく糖質をカットすることができますし、極端に糖質を減らしませんから、継続することが可能です。

もしパンや麺を食べるなら、いつもより気持ち少なく盛るか、残してみましょう。
3口分残すだけでも、糖質をカットできますね。
これを運動でカロリーを消費しようとすると、とても大変です。

3食の糖質を少しずつ減らすことで、無理なく糖質制限をしてみましょう。

糖尿病治療とアルコール

糖尿病患者さんにアルコール摂取を控えるように言うのは、いくつかの理由があります。

大まかに言ってしまうと、この3点です。

それを夜食べて寝れば、その分カロリー消費されることなく蓄積されます。

そして③の血管内脱水。
あまり知られていませんが、アルコールは分解する過程で水分を引き寄せます。
晩酌をしてしまうと、寝ている間に血管の中から水分が吸い出されて脱水を起こします。
しかし、本人は眠っているので水分を補充することはできません。

夜アルコールを摂取してしまうと、朝起きた時に脳梗塞を発症していた、胸痛で起きたら既に心筋梗塞を起こしていた…という最悪の事態を起こしかねません。
特に糖尿病になると血管のダメージが加わっているので、アルコール摂取がそれに追い打ちをかけてしまうのです。

まとめ

運動も食事も、今まで好き放題にしていて糖尿病を発症した人が、いきなり全てを理想に近づけようとすると、無理がきます。
生活に染みついた悪習慣を、今よりも量や回数を2/3にして、それを半分にして、ゼロに近づける…という具合で改善していくことを目標にしましょう。

糖尿病治療は一生続くのです。

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