沖縄県は、なぜ最長寿県ではなくなったのか?

日本人が2型糖尿病になりやすいのは、欧米人に比べてインスリンを出す膵臓がタフではないという遺伝的要素があります。
インスリンは糖質代謝だけでなく、脂質・タンパク質代謝など、多岐に及びます。
栄養摂取のバランスが崩れて脂質が増えてしまえば、インスリンはそれだけ必要になります。

日本糖尿病学会は、「日本腎の糖尿病の食事療法に関する日本糖尿病学会の提言」を発表しています(日本糖尿病学会のホームページから閲覧できます)。
それによると、沖縄が最長寿県から脱落したのは、肥満者の割合が全国でトップになったからだというのです。

そして、沖縄県民の食生活に原因があると考えたのです。
日本糖尿病学会によると、総エネルギーにおいて差はないものの、沖縄県民は脂肪分の比率が総エネルギーにたいして25%以上の人が、60%を超えているというのです。
全国平均が40~50%とすると、明らかに沖縄県民は脂質を取り過ぎていますね。

食事ばかり欧米化しても、遺伝子は日本人のままですからね。
インスリンが足りなくなって糖質も脂質も代謝しきれなくなり、肥満になり、糖尿病になってしまう・・・当然といえば当然なのです。

結論としては、沖縄が長寿県ではなくなってしまったのは、脂肪分の多い食事の取り過ぎによって糖尿病の患者が増加したから、ということなのです。

食事療法なくして糖尿病コントロールはできない

では、栄養素はどのようにとるべきなのでしょう?
糖尿病学会による糖尿病における三大栄養素の推奨比率は下記の通りです。

いかがでしょうか?
食事療法というと、とにかくカロリーを減らさなきゃと思ってしまいがち。
確かに総摂取カロリーを減らすことも、インスリンを多量に分泌させるのを抑えてくれます。

しかし、実は本当にHbA1cを下げたかったら、脂質の比率にも注意が必要ということです。
炭水化物ダイエットをすると、確かにカロリーを減らすことができますが、糖尿病の患者さんが目指すべきなのは、ただ摂取カロリーを落とすことではありません。

運動療法も欠かせない治療ですが、糖尿病治療の基本は食事療法にあります。
食欲というのは人間の欲求ですから、なかなかコントロールするのは難しいもの。
「後で運動するからいいよね~」とか、「頑張った自分にご褒美」というものが少しずつ積み重なって、それが毎日の習慣になってしまったら?

塩分に関しては減塩が意識づけられてきた日本人ですが、脂肪に関してはまだまだ理解度が低いようです。
糖尿病だけでなく、脳梗塞や心筋梗塞を防ぐには、食事療法が必須。
運動で摂取した分の脂肪を燃やそうなんて考えたら、いくら動いたって足りません。

糖尿病を指摘されている人の中には、食事療法を全くしない人がいます。
薬でなんとかすればいい、と。
それでは取り返しのつかないことになってしまいます。

仮に内服薬でHbA1cが一時的に下がったとしても、食事療法を行わなければどんどん進行します。
そしてついにはインスリン導入となり、それでもコントロールがつかなくなって腎不全を起こします。

腎不全になっても人工透析があるじゃない、と楽観視してはいけません。
人工透析が始まると、自分の時間が無くなります。
仕事もまともにできません。
何より人工透析だって、自分の努力なしには続けられないのです。
体重が増えてしまえば心臓の負担がかかるし、透析を続けることもできません。

糖尿病になったからには、食事療法からは逃れられません。
そしてまた、今は予備軍の人・HbA1cが正常値にある人も、飽食の時代を生きる現代人は、糖尿病を予防するためにはあっという間に食べ過ぎて肥満になってしまいます。

結局、適切な食事を摂るということは、どんな人にとっても必要ってことですね。

参考文献「日本人の糖尿病の食事療法に関する日本糖尿病学会の提言 ~糖尿病における食事療法の現状と課題~

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