血糖値に対して効果的な運動

血糖値の高さを気にする方にとって、食事と合わせて生活習慣のひとつとしてしっかりと意識しなければならないのが「運動」です。
もちろん運動が健康維持に重要であることは多くの方がすでに知っていることでしょう。

確かに、適切に運動を行うことで血糖値の上昇を防いだり、上がってしまった血糖値を下げる作用が期待できます。
では、血糖値に対して効果的な運動とはどのようなものがあるのでしょうか。

運動

血糖値を下げる運動とは?

運動のなかでも、血糖値の抑制に対して高い効果が期待できるのは「有酸素運動」であると言われます。
有酸素運動は、筋力トレーニングなどの「無酸素運動」とは異なり、酸素をたくさん取り入れて脂肪を燃焼させる運動のことを指します。
エアロビクス、ウォーキング、サイクリングなどがその典型です。

有酸素運動を行うことで、血液内のブドウ糖がエネルギーとして消費されるために、血糖値の上昇を抑制する効果が期待できるというわけです。
せっかく血糖値の上昇を抑えるために運動をしたのに、十分な効果が得られないという場合には、日々の運動を無酸素運動から有酸素運動へ切り替えてみるのがよいでしょう。

血糖値を下げる、歩く運動

さて、血糖値を下げるための運動として、有酸素運動が効果的であると解説しました。
その中で例示しましたが、ウォーキングは有酸素運動として手軽に行える運動といえるでしょう。
適度にウォーキングをすることで、血液内のブドウ糖の値を下げる効果が期待できるばかりでなく、定期的な運動によって、血糖値を抑制するインスリンの働きの活性化も期待することができます。
これによって、「血糖値が上昇しにくい身体」をつくることにもつながるというわけです。

とはいえ、あまり長時間のウォーキングや、身体に負荷がかかりすぎるウォーキングはおすすめできません。
かえって身体に負荷がかかって健康を害してしまう懸念があることや、ウォーキングが習慣化されない可能性が高いためです。
これからウォーキングをされる方は、週に3日程度からはじめ、60分程度のウォーキングから始めるのがよいでしょう。

ウォーキング

血糖値を下げる運動は、いつ行うのがよいか?

運動が血糖値の抑制に効果的なことはわかりましたが、運動にはタイミングも重要です。
血糖値を下げるのによい影響を与えるタイミングとしては、食後の運動がよいと言われています。
血糖値は食事を取ることによって、食事が消化され当分が血液内に溶け出します。
そして血糖値が上昇するという結果になるわけですが、この後に運動をすることによって、先に書いたように、血液内のブドウ糖を消費し、結果として血糖値を下げる効果をもたらすというわけです。

ただし、食後の運動が良いとは言っても、食事を終わってすぐに運動に出る必要はありません。
むしろ、食後すぐに運動を取ると腹痛などに襲われる可能性もありますし、心臓への負担も無視できません。
食後少しの休憩時間をはさみ、その後に運動を行うのがよいでしょう。
せっかくの健康のための運動です。
健康的に実践していきたいものですね。

妊婦にとっての血糖値を下げるための運動とは?

妊婦は糖尿病のリスクが高いと言われます。
概ね、妊娠糖尿病は妊婦の10%程度の割合で発生するといわれています。
そもそも妊娠糖尿病は、妊娠中に発生する糖の代謝異常と言われています。
一般には、「糖尿病」と診断される患者よりは程度が軽いとされており、妊娠中に血糖値の上昇が起こることによって妊娠糖尿病といわれるわけです。
この妊娠糖尿病の場合、血液中のブドウ糖濃度が高くなることは糖尿病と同じですが、この原因が、妊娠に伴いホルモンバランスが崩れ、インスリンの分泌量が適切でなくなるということが原因となります。

ただし、糖尿病よりも程度が軽いといっても、心配がないというわけではありません。
血液内で濃度が高くなった糖質は、インスリンによって分解されないがために、脂肪として体内にとどまることが問題となります。
また、妊娠中に分泌される黄体ホルモンは、インスリンを破壊する酵素が含まれているため、通常であれば適切に血糖値の上昇を抑えているはずのインスリンが効果を表しにくくなってしまい、普段に比べて血糖値が上昇しやすくなってしまうという問題もあります。
これらの症状は、妊娠中の運動によって緩和されると言われ、食事後の短時間(30分)程度のウォーキングが推奨されているほか、最近ではマタニティスイミングやマタニティヨガなどの運動が推奨されています。
こうした運動は、身体への過負荷をかけないことを念頭に置きながらも、適切に取り入れていくのが最善といえるでしょう。

この記事を監修した人

監修:宮座 美帆

経歴&活動:
平成25年 臨床工学技士の資格取得。
同年より、広島大学病院に勤務し循環器・呼吸器・代謝内分泌などの疾患を対象に多くの仕事に従事し経験を積む。
現在は医療に関する執筆・監修をこなす医療ライターとしても活動中。
病院・クリニック・企業のHP内コラム等も担当し、読者のみなさまが「病院を受診するきっかけ」作りを積極的に行う。

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