トップページ >> 糖尿病の治療 >> 糖尿病治療に注意すべき点【高血圧・低血圧・低血糖・昏睡・体重増加】
血圧というのは、心臓から血液を全身に送り出すための圧力のこと。
ということは、血圧が低いと、必要な血流量が保てなくなります。
例えば立ちくらみが。
病気のない人でも、急に立ち上がったりするとくらっとしますよね。
更に脳血流が不足すると、意識レベルが低下したりします。
転倒して事故や怪我を負うこともあります。
また、足先への血流を保つこともできないので、糖尿病性足病変を更に悪化させることにもなります。
それでいて、神経障害のため気づくのも遅い。
でも、血圧が低いからといってショック状態にあるくらいの重度でなければ、治療は行いません。
血圧降下剤を内服している場合は、その薬を中止する程度。
血圧は自立神経によって作用されます。
ですから糖尿病によって低血圧になるということもありえますが、それよりも糖尿病だから低血圧に一層の注意が必要という認識を持つ方がよいでしょうね。
糖尿病は生活習慣病です。
ですから、高血圧も合併している場合が多いです。
高血圧は何がいけないのでしょう?
低血圧が血流が保てなくて困るのなら、高血圧は流れがよくていいのでは、と思いますか?
高血圧によって、血管に過度な圧力がかかると・・・そう、脳出血を起こします。
おまけに糖尿病患者の血管はもろいときている。
だから、高血圧による脳出血を起こし易いのです。
神経障害があると、血圧の変化に身体が気づくことが少なくなってしまいます。
低血圧によるふらつきやボーっとしていることも、高血圧による頭痛や吐き気も。
ですから、実際に血圧を測らないと、異常に気づかない。
糖尿病患者の血圧管理は、一般の血圧管理よりも大切な意味があります。
そして、高血圧は放置すると腎臓への負担もかかりますので、必ず治療しましょう。
糖尿病患者が低血糖を起こすというのは、どのような状況でしょうか?
それは、人口的に血糖を下げようとしたときです。
具体的には、血糖降下剤の内服かインスリン注射をしている場合ですね。
血糖というのは、その日の運動量や食事の摂取量、また体調変化によっても違います。
例えば、その日だけハードな運動をした場合や、感染性胃腸炎のために嘔吐と下痢を起こしていた場合は、血糖が普段より低くなっています。
そんな時にいつもと同じ量だけ内服したり、インスリンを注射してしまうと、低血糖発作を起こしてしまいます。
低血糖を起こして一番困るのはどこでしょうか?それは脳です。
脳細胞は低血糖に非常に弱く、命に直結します。
だから、人間の身体には血糖が下がったら上げるようにする機能が備わっているので、通常低血糖発作を起すことはありません。
しかし、糖尿病の場合はそれを人口的に下げるようにしてしまうから、低血糖が起こるのです。
低血糖は程度によって治療が違います。
意識があって、経口摂取が可能ならブドウ糖や糖分をたくさん含む飲み物で対応ができます。
しかし、重度になると救急搬送して、病院でブドウ糖を直接注射してもらわないと、意識が戻ることができません。
夜中にこのような低血糖発作を起した場合、本人も気づくことなく進行してしまい、朝家人が気づく頃には意識がない…ということもあります。
糖尿病の合併症には、腎症や網膜症のように慢性的に起こるものもありますが、突然発症する急性合併症もあります。
その一つが糖尿病性昏睡。
糖尿病治療をドロップアウトしてしまった場合や、感染症や手術によって血糖が一時的に高くなってしまう時に発症します。
問題になるのは、身体が酸性に傾くアシドーシスと、血管内脱水。
なぜこの二つは起こるのでしょうか?
インスリンが不足すると、血管に多量の糖が流れたまま、細胞内に取り込まれません。
細胞内に取り込まれないと、身体は飢餓状態であると認識します。
低血糖を起こすまいとなんとかして、血糖を上げようと防衛反応が働きます。
代替手段として、脂肪を分解することで血糖を上げます。
しかし、脂肪を分解したときに出るゴミであるケトンが大量に出てしまいます。
人間の身体はpH(ペーハー)を一定に保つようになっていますが、それがケトンによってバランスが崩れてしまいます。
そして、急速に酸性に傾くことで、意識障害や呼吸障害・低体温を起こしてしまいます。
血糖を上げる代替手段は、脂肪分解だけではありません。
肝臓でも糖を新たに作り出し、ます。
本当は血管にはたくさんの糖があるのに、更に作り出すわけですから高血糖は悪化します。
そうなると、血管の中を流れる血液は非常に糖の濃度の濃いものになり、水分が不足した状態になってしまいます。
これを高血糖性高浸透圧といい、意識障害・痙攣(けいれん)・血圧低下を起こして昏睡に至ります。
糖尿病患者の昏睡は、命に直結します。
昏睡は、高血糖でも起こりうるし、低血糖でも起こります。
どちらなのかはわかりませんから、すぐに救急搬送して血糖に応じた治療が必要になります。
糖尿病と診断されているのに急激な血糖上昇は、慢性合併症の進行を早めるだけでなく、急性合併症である糖尿病性昏睡を起こしかねません。
糖尿病になったら、血糖を測定するところまでいかなくても、定期的に体重を測定して自己管理に努めなくてはいけません。
繰り返しになりますが、糖尿病は治癒する病気ではありません。
良くて現状維持、悪くて進行です。
ですから、日頃から自分の身体をよく観察し、血糖・体重・食事・運動といったものを、自己管理が必須です。
医療が進んだおかげで、いきなり糖尿病だからと死に至ることはごくまれです。
逆に言うと、合併症を抱えつつも生き続ける、家族や他人の世話になりながら生き続けるという苦しみを負うことになるのです。
どうしても痛みを伴わないため、糖尿病は早期発見・早期治療が難しい病気です。
しかし、外科的手術で治る病気と違い、一生背負っていかなければいけない病気です。
まずは、自分の生活を振り返り、規則正しくすることから始めましょう。
糖尿病の予防・改善には、血糖値のコントロールは必須と言われています。 運動・食事制限等が大切になってきます。 しかし、急に生活習慣を変えれない方も多いと思います。
糖尿病はとても恐い病気です。放っておくと様々な合併症を引き起こしたりと、大変なことになります。 糖尿病予備軍の人も同じです。放っておくと糖尿病になってしまいます。
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この記事を監修した人
監修:宮座 美帆
経歴&活動:
平成25年 臨床工学技士の資格取得。
同年より、広島大学病院に勤務し循環器・呼吸器・代謝内分泌などの疾患を対象に多くの仕事に従事し経験を積む。
現在は医療に関する執筆・監修をこなす医療ライターとしても活動中。
病院・クリニック・企業のHP内コラム等も担当し、読者のみなさまが「病院を受診するきっかけ」作りを積極的に行う。
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