糖尿病患者の足にあらわれる症状は、大きくわけて「神経障害」と「足病変」の2つがあります。具体的には、足先から左右対称にしびれたり、足に潰瘍や壊疽(えそ)ができたりします。
糖尿病が進行して足に症状があらわれると、将来的に切断しなければならないのでは、と心配になる方もいるでしょう。
本記事では、糖尿病によって起こる足の症状や原因、治療・予防方法を解説します。糖尿病で足に気になる症状がある方は、今日から足をケアしましょう。
糖尿病患者の足にあらわれる症状は、大きくわけて「糖尿病神経障害」と「糖尿病足病変」の2つです。
症状が進行することで足の切断にもつながる合併症として知られています。
実際に、糖尿病患者の約1%が足の切断に至るとのデータがあるのです[1]。
また、足を切断した糖尿病患者の予後は悪く、死亡率は3年で約50%、5年で約70%との報告があります[2]。
しかし、定期的な通院や血糖値の改善、こまめな足のケアで症状を予防したり、進行を防げます。
糖尿病神経障害や糖尿病足病変の詳細をそれぞれ解説していきます。
糖尿病神経障害は、糖尿病が原因で生じる合併症のひとつで、糖尿病網膜症、糖尿病腎症とともに「3大合併症」といわれています。
3大合併症のうち最も頻度が高いのが、「糖尿病神経障害」です。
糖尿病神経障害を発症するまでは約9年かかるといわれていますが、わずか数年で発症するケースもあるのです[2]。
糖尿病になると、細い毛細血管がもろくなるなどのダメージを受けます。末梢神経に血液を運ぶ毛細血管が傷つくと、十分な酸素と栄養が運ばれなくなり、感覚や運動を司る神経と自律神経に悪い影響が及びます。
また、高血糖の状態が続くとソルビトールという物質が神経に蓄積することも原因です。
糖尿病神経障害によって、足に起こる症状には下記の特徴があります[3]。
糖尿病神経障害は自覚症状だけでは他の病気と区別できません。 診断するためには神経伝導検査を受ける必要があるため、あてはまる症状がある方は早めに受診しましょう。
糖尿病による神経障害や血行障害が原因で、足に起こるトラブルをまとめて「糖尿病足病変」とよびます。
神経障害になると痛みを感じづらいため、足に起きた炎症や傷に気づきにくくなります。そこに感染が加わると潰瘍や壊死(えし)につながってしまうのです。
また、動脈硬化によって血行も悪くなっているため、傷や感染が治りにくい状態をつくってしまいます。
糖尿病足病変は再発率も高いことが特徴です。日頃より足の小さなトラブルも見逃さないようケアすること、トラブルを見つけた時には正しい処置をすることが大事です。
糖尿病足病変によって、足に起こる症状には以下の通りです[2]。
糖尿病になると感染症にかかりやすくなるため、水虫を繰り返したり、炎症が起きやすかったりします。正しいケア方法は後述しますが、自己処理は足の症状を悪化させるおそれもあるため、主治医や看護師に相談しましょう。
糖尿病神経障害や足病変は一度発症すると、現在の医療技術では完治できません。ただし、血糖値を管理することで予防したり進行を抑えられたりします。
では、どのくらいの血糖値を目標とすればいいのでしょうか。
糖尿病神経障害は、血糖コントロールの指標であるHbA1cを平均7.1%で維持すると発現を抑えられることが明らかとなっています[4]。
HbA1c7%未満に対応する血糖値は、空腹時血糖値130mg/dL未満、食後2時間血糖値180mg/dL未満が目安です[1]。
糖尿病による足の症状を未然に防ぎたい方は、まず自分のHbA1cや血糖値がどのくらいか把握するところから始めてみましょう。
HbA1c | 平均7.1% |
---|---|
空腹時血糖値 | 130mg/dL未満 |
食後2時間血糖値 | 180mg/dL未満 |
糖尿病足病変を防ぐには、定期的な足のケアも重要です。
足のケアについて6つのポイントを紹介します。
早期発見・早期治療できるよう生活に取り入れましょう。
足の異常に早く気づくために、1日1回足を観察しましょう。
触って確認したり、見えないところは鏡を使ったりして足のすみずみまで見ることがポイントです。
目が悪い方は、家族やヘルパーさんに協力を仰ぎましょう。
深爪しないように切りましょう。
爪を切りすぎることで炎症や感染症の原因になります。
爪の角は切り落とさず、まっすぐ切る方法(スクエアカット)がおすすめです。
巻き爪や爪が厚くなっている場合には無理に切らず、受診時に相談しましょう。
水虫や感染症を防ぐために清潔を心がけましょう。
石けんをよく泡立てて、強くこすらずに指の間まで丁寧に洗います。
洗った後は水気を十分にとり、乾燥している場合には保湿クリームを塗るといいでしょう。
自分の足の形に合った靴を選びましょう。
靴の内張りは柔らかい素材を選び、靴の内側にかたい縫い目がないものを選ぶと刺激が少なくいいでしょう。
実際に試着して、足の先や高さに適度な余裕があるものを選びます。夕方になると足がむくむことがあるため、夕方に試着するのがおすすめです。
また、靴を履くときには必ず靴下を着用しましょう。
ストーブや湯たんぽなどの暖房器具を使用する際は低温やけどに気をつけましょう。神経障害が進行すると、痛みや熱さを感じにくくなるため、気づかぬうちにやけどする可能性があります。暖房器具に直接皮膚をあてないようにしましょう。
鶏眼(うおのめ)や胼胝(たこ)を見つけたときは、自分で削ったり、市販薬で対応するのは止めましょう。
自己処理により傷を作ってしまうと、感染症の原因となるおそれがあります。
受診時に医師や看護師に処置をしてもらいましょう。
糖尿病における足の症状について、よくある質問をまとめました。
糖尿病神経障害は、足の指先や足の裏から症状があらわれます。
足先から左右対称にしびれや痛みが起こり、徐々に身体の上方向に広がっていくことで知られています。
ただし、糖尿病足病変は個人差もあるため、気になる症状がある場合には早めに受診しましょう。
糖尿病における足の症状は以下のような痛みがあるといわれています[3]。
糖尿病が原因で生じる三大合併症のなかで、糖尿病神経障害が最初に出ることが多いです。
そのあと、糖尿病網膜症、糖尿病腎症の順で起きるといわれています。
ただし、糖尿病の合併症はさまざまであるため一概にいうことは難しいと考えられます。
糖尿病足病変が疑われる場合、足の色は以下に変わる可能性があります[5]。
色 | 原因 |
---|---|
赤 | 炎症・感染症 |
青紫または蒼白 | 血流障害 |
茶褐色 | 静脈のうっ滞(流れが悪い) |
黒 | 壊死・壊疽(えそ) |
医療・取材ライター、病院薬剤師。
大学卒業後、総合病院に勤務し、内科・泌尿器科・透析科・循環器科での服薬指導
を経験。現在は未就学児2人を子育てしながら病院薬剤師として従事、現場経験をもとに医療ライターを行う。
2015年 一般社団法人 日本糖尿病指導療法士認定機構 日本糖尿病指導療法士取得。
会社名 | 合同会社第一Web |
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代表者 | 加藤 洋輝 |
所在地 | 〒003-0002 札幌市東札幌2条5丁目3―15 ドルチェ富士1F―B |
主たる業務 |
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資本金 | 350万円 |
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